オリックス株式会社と住友重機械マリンエンジニアリング株式会社は、環境への配慮から風力を利用した省エネ運航の実証実験を行うことを発表しました。このプロジェクトは海運業界における環境負荷の軽減を目指した重要な試みとして注目されています。
実証実験は、オリックスが所有するばら積み貨物船を使用し、船舶甲板に「ソフトセイル」と呼ばれる翼状の帆を搭載します。この帆は、特殊なプラスチックで製造されており、高さ8メートル、幅13.2メートルの大きさを誇ります。特筆すべきは、この帆が風向きに応じて角度を調節できることで、航海中の推進力を最大限に引き出せるという点です。
今回の実証実験では、補助的に風力を利用することで、主燃料である重油の消費量を削減し、ひいてはCO2排出量の減少につながることが期待されています。これにより、持続可能な航海を実現すると共に、海運業界全体の環境目標達成に寄与することができるでしょう。
このプロジェクトには、住友重機械マリンエンジニアリングが、ソフトセイルを含む風力推進補助装置の設計を担当し、航行データの解析も行います。一方、オリックスはこのセイルの設置や運航中の燃費データの測定・収集に注力します。この蓄積されたデータをもとに、省エネの理論値を算出し、さらなる改善策を探る予定です。
本実験の背景には、国連の専門機関である国際海事機関(IMO)が示す厳格な温室効果ガス(GHG)排出削減目標があります。2023年現在、IMOは国際海運からのGHG排出を「2050年頃までにゼロ」にする目標を掲げており、この流れに従い、オリックスとSHI-MEは、実験によって得られた知見を活かし、グリーンエネルギーの活用を進めていく方針です。
オリックスと住友重機械による今回の実証実験は、経済面だけでなく環境保護という両面で海運業界に革新をもたらすことが期待されています。今後の進展に注目していきたいところです。