2024年8月、株式会社シンクロ・フードが運営する「飲食店ドットコム」は、飲食店経営者を対象にカスタマーハラスメント(カスハラ)の実態調査を実施しました。この調査によれば、東京の飲食店の55.7%がカスハラを受けた経験があると回答。これは、東京や首都圏の飲食店経営者にとって無視できない現実を示しています。
カスハラとは何か?
カスハラは、顧客からの不当な要求や言動が従業員の就業環境に悪影響を与える行為を指します。厚生労働省もこの概念を定義しており、、その影響は少なくないのです。調査結果からも、威圧的な言動が63.8%、接客に対する不当なクレームが49.7%と、従業員が顧客からの攻撃を受けやすい環境が伺えます。
カスハラの影響
飲食店の経営者たちは、カスハラによる従業員の体調やモチベーションの悪化をさらに懸念しています。調査では、62%の飲食店が「従業員の体調・モチベーション悪化」に影響を受けていると答えました。また、84%の店舗がカスハラ発生時の対応マニュアルを持っていないことから、これがさらなる問題を引き起こしていることも分かります。
法的手段とその現状
調査において、法的手段を取った経験があるという飲食店はわずか5.5%。多くの店舗は、トラブルを内部で解決しようとする傾向が見受けられます。法的手段を取らなかった理由として「お客様と店舗で対応できたから」など、店舗側での対応が上手くいったとする意見が多く寄せられました。しかし、カスハラの基準があいまいであることや、手続きの複雑さから法的措置に踏み切れない事例も見られました。
東京都のカスハラ防止条例の認知度
東京都が2025年4月より施行予定のカスハラ防止条例について、調査に回答した飲食店経営者のうち約半数が「伝えていない」との結果が出ました。条例への期待度は高く、さまざまな店舗が効果を期待しつつも、施行までの過程に懸念を示す声も多くありました。
具体的な対策
多くの飲食店はカスハラを防ぐために独自の対策を講じています。その中には、予約時の注意事項を増やしたり、店内でのルール表示を徹底すること、毅然とした態度で対応することなどが含まれます。これらの対策は、従業員のストレスを軽減し、顧客との良好な関係を築く上で重要な役割を果たします。
まとめ
東京都におけるカスハラ問題は、飲食店経営において真剣に向き合うべき課題です。今後のカスハラ防止条例施行に向けて、業界全体で問題解決に取り組む必要があるでしょう。飲食事業者が、マニュアル作成や従業員の意識改革を進めることで、より安全で快適な職場環境を作り上げることが期待されます。