人手不足と観光需要の逆風
近年、観光需要が増加しています。2025年の訪日外国人旅行者数は3165万人を超え、年間3000万人を突破する見込みです。しかし、この急増する需要に対して、ホテル業界は深刻な人手不足に悩まされています。帝国データバンクの調査によると、2025年7月時点で「旅館・ホテル」の人手不足は依然として高水準にあります。この状況は新規開業と重なり、ホスピタリティ業界における将来の担い手の育成が急務です。
このような背景の中、東京都中野区にある専門学校日本ホテルスクールでは、第34回弁論大会が開催されました。この大会は、学生たちが自身の意見を発表し、業界の未来について提言を行う重要な場となっています。弁論大会には、ホテル総支配人や業界関係者、メディア関係者などが審査員として参加し、学生たちの熱弁を見守りました。
学生たちの情熱的な提案
今回の大会では、予選を通過した日本語部門と英語部門それぞれから5名ずつ、合計10名の学生が自らの考えを発表しました。日本語部門で最優秀賞を受賞したのは、昼間部ブライダル科2年の梅村優月姫さん。彼女のテーマは「本当の多様性」で、日本の企業での障がい者採用について言及し、実際に活躍できる職場環境を提案しました。「できないのではなく、工夫すればできる」と、職場の多様性を重視する考えを強調しました。
英語部門の最優秀賞には、昼間部ホテル科2年のイップ カーヘイ キャンディーさんが選ばれました。彼女は「Beyond the Script(台本に縛られない)」というテーマで、ホスピタリティの場面において、マニュアルに囚われずお客様一人一人のニーズに応えることの重要性を訴えました。業界が抱えるマニュアル重視の問題を提起し、その先にある柔軟なご対応の必要性を説いたのです。
弁論大会の意義と経験
本校では、勉強のみならず、実践的な環境を大切にしています。弁論大会は「表現力・語学力の向上」を目的とし、業界の専門家とのふれあいの場でもあります。この大会を通じて、学生たちはただ自らの意見を発信するだけでなく、業界の現状を理解し、将来のホスピタリティ業界のあり方を考える貴重な体験を積んでいます。
大規模なイベントにおいて、学生たちの計画的な進行や準備は人材育成にプラスに寄与しています。実際、参加した350名の学生たちは、自らの思考を深める貴重な機会を得ています。今回の大会では、最優秀賞受賞者に宿泊券やディナー券が授与されるなど、彼らの努力が報われる仕組みも整っています。
業界の未来に向けた希望
このように、専門学校日本ホテルスクールの弁論大会は、学生にとって重要な成長の場となっています。時代の変化や業界の課題に真正面から向き合う姿勢は、彼らの未来を明るく照らすでしょう。
日本ホテルスクールは1972年の設立以来、14,800名以上の卒業生を輩出し、業界での人材育成に貢献してきました。これからも、産学連携を通じて、学生たちの潜在能力を引き出し、彼らが業界のリーダーとして活躍することを目指していきます。未来のホスピタリティ業界を背負う彼らの活躍に期待が寄せられます。