三菱電機が解明、負イオンによるオゾン酸化作用の新たなメカニズム

三菱電機、負イオンを併用したオゾン酸化の新しい可能性

三菱電機株式会社は、東京科学大学の蒲池教授との共同研究により、負イオンを使用することでオゾンの酸化作用を向上させる新しいメカニズムを解明しました。本研究は、負イオンがオゾンの効果を高めることを示すもので、ウイルスや細菌に対して低濃度のオゾンでも強力な効果を発揮することが期待されています。

背景

近年、屋内環境の衛生状態が懸念される中、オゾンがウイルスや菌の抑制に有効であることが知られています。適切な濃度で使用することが重要ですが、オゾン単体ではその持続性や安定性に課題がありました。これに対し、負イオンがオゾンの効果を如何に向上できるのかについては、それまで詳しく理解されていない部分も多くありました。今回の研究では、独自の技術でそのメカニズムが明らかにされたのです。

研究の成果

負イオンを導入することにより、オゾンが水分中での酸化作用を高めることができる仕組みが特定されました。研究チームは、負イオンが水中のpHを低下させ、これがオゾンの溶存濃度を1.5倍に向上させることを発見しました。これにより、ウイルスや菌への接触が増え、より効果的な酸化作用が得られるのです。

実際の実験では、50ppb以下の低濃度オゾンを使用し、大腸菌やピンクぬめり酵母菌を1時間以内に99％低減させることに成功しました。また、汗臭や生乾き臭についても、1時間の処理で臭気強度が大幅に低下することが確認されています。

開発の特長

- 負イオンによるメカニズム解明: 放電活性種の分析を通じて、負イオンが硝酸系成分を形成しpHを低下させることが分かった。
- 低濃度でも高い効果: 低いオゾン濃度でもウイルスや菌、臭気を高いレベルで抑制することが実証された。

今後の展望

三菱電機は、学校や病院、公共交通機関といったさまざまな空間に対応した除菌・脱臭デバイスの開発を進めていく予定です。この新しい技術により、より快適で安心な暮らしを実現するための取り組みが続けられます。国際会議「Pacifichem 2025」では、さらに詳細なデータが発表される予定です。

私たちの生活環境をより安全に保つため、三菱電機は今後も技術革新に取り組んでいきます。