日本のソーシャルセクター、Doing Good Index 2024の分析
アジア地域のソーシャルセクターにおける日本の位置づけが、Doing Good Index 2024の結果から一層浮き彫りになりました。この調査はCentre for Asian Philanthropy and Society(CAPS)と日本NPOセンターによって行われ、日本のソーシャルセクターの現状とその発展の可能性を評価しています。特にデジタル技術の利用状況や寄付行動の変化、NPOの人材確保の難しさなどが明らかになりました。
1. デジタル技術の活用
調査結果によれば、日本のNPOも他のアジア諸国同様に、デジタル技術の導入が進んでいます。95%の団体が業務にデジタル技術を活用している一方で、その効果的な活用スキルが不足しているという声も多く、59%がその点での課題を認識しています。特に、ハードウェアの確保が難しいという問題は39%のNPOにとって最大の課題とされ、これはインターネットのアクセスが86%の団体で確保されている中でも、依然としてデジタル技術の導入に障壁をもたらしています。
2. 法律と規制の複雑さ
日本の非営利法人にとって、登録手続きは迅速で効率的であり、アジア平均に比べてスムーズですが、法的規制の理解とその執行の難しさが依然として問題視されています。71%のNPOが法律の理解が難しいと感じており、これはアジア全体の傾向を上回っています。これは、法的体制が整っているものの、運用の実情が乖離していることを示唆しています。
3. 不十分な資金調達
日本におけるNPOの資金の流入状況は、主体的には安定しているものの、依然として多くの団体が資金不足を訴えています。国内資金は全体の49%を占めていますが、84%の団体がそれでも「資金が不十分」と感じています。この流れは、アジア全体における資金調達と同様の傾向を示しています。
4. 人材確保の難しさ
日本のNPOは、94%が「スタッフを確保するのが困難」と回答し、この数字はアジア平均を大きく上回ります。80%がNPOでの収入が営利より低いべきだという認識が根強く、寄付者からの安定した支援が得られていない現状も明らかです。キャパシティビルディングのための寄付者支援を受けている団体はわずか4%に過ぎず、66%は一度も支援を受けたことがないと述べています。
5. 企業との連携
日本のNPOの51%が企業からの資金援助を受けており、この数字は比較的良好ですが、全体の予算に占める割合はわずか6%です。また、企業ボランティアと協力している団体の割合は48%で、アジア平均には届いていないものの、今後のさらなる連携の可能性があります。
結論
Doing Good Index 2024は、日本のソーシャルセクターが多くの課題に直面しつつも、新たな機会や可能性を秘めていることを示しています。デジタル技術の導入や民間資本の積極的な活用、そしてNPO間の協力と信頼構築が、今後の発展を促進する鍵となるでしょう。日本のソーシャルセクターがより活性化し、社会に大きな影響を与えるためには、各方面からの支援と連携が不可欠です。