日本式運転教育がベトナムに展開される理由
2025年7月30日、株式会社広沢自動車学校と有限会社羽生モータースクールは、ベトナムのホーチミン市における日本式運転教育の提供を目的とした戦略協定を締結しました。この背景には、「特定技能(自動車運送業)」制度の開始による外国人ドライバーの受け入れ促進があります。
特定技能制度は2024年12月に開始され、日本の物流業界におけるドライバー不足を解消するため、外国籍のドライバーを受け入れる政策です。この制度により、政府は5年間で最大2.45万人の外国人ドライバーを受け入れる方針を掲げています。しかし、外国籍ドライバーの安全運転を確保するためには、運転免許制度が整っていない国も多く、海外人材に日本の交通ルールや運転技術をどのように身につけてもらうかが大きな課題でした。
MOU締結の背景とその意義
広沢自動車学校は徳島県で最も多くの通学者を抱える教習所の一つであり、羽生モータースクールは埼玉県で多くの職業ドライバーを育成している実績があります。これらの学校は、すでにいくつかの教習所で日本式教育の提供を開始していましたが、TRAM ANH Groupとの提携により、ベトナム全土での教育活動が可能になることが期待されています。
この協定においては、日本式運転教育のカリキュラムが策定され、来日前に予め50時間以上の運転教育を受けられるようになります。具体的には、ベトナムの教習所「HocMon運転免許教習所」をベースに、日本の指導員が指導したベトナム人インストラクターがベトナム語で教える形で実施されます。これにより、ベトナムでの運転テクニックを身につけた上で来日し、運転免許の取得をスムーズに行うことが目的です。
教育プログラムの詳細
教育プログラムは、約10時間の実車教育を組み込んでおり、特に日本とベトナムの運転方法の違いを明確に指導することを重視しています。また、教習所は非常に広いコースを用意し、実際の運転状況に即した形で練習が行えるよう配慮されています。プログラム終了後には修了証が発行され、受講者が日本に来る際の有効な証明となります。
さらに、株式会社テトラ・シフトが開発したオリジナルテキストを用いたオンライン座学も40時間行われ、来日前に日本の交通ルールやビジネス文化についての理解を深めます。これにより、運転免許取得期間の短縮とともに、特定技能制度に基づく安全な運転を実現できるでしょう。
参画する各社の役割
広沢自動車学校は初心運転者の交通事故率を減少させることに成功し、消費者志向優良企業選で最優秀賞を受賞しています。このような実績が、今回のプログラムの信頼性を高めています。羽生モータースクールは大型免許取得に強みを持ち、外国籍の生徒も多く受け入れており、特定技能制度の導入に向けた準備も進めています。
TRAM ANH Groupはベトナム国内で強力なネットワークを持つため、現地の人材育成においても強い影響力を持ち、2024年には多くの卒業生を日本に送り込むことが期待されています。
結論
このように、広沢自動車学校や羽生モータースクールとTRAM ANH Groupの提携によって、ベトナムにおける日本式運転教育が本格的に展開されます。特定技能制度により日本での外国人ドライバーの需要が高まりつつある中で、より安全でスムーズな運転が期待され、運転技術の向上のみならず、日本とベトナム間での人的交流も促進されるでしょう。