最近、慶應義塾大学の研究チームが筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新しい研究手法を発表しました。この研究は、人工多能性幹細胞、すなわちiPS細胞から運動ニューロンを効率的に誘導する方法の開発に焦点を当てています。共同研究に参加したのは、東京大学大学院新領域創成科学研究科の薛世玲那博士、慶應義塾大学再生医療リサーチセンターの岡野栄之センター長、および森本悟副センター長です。
ALSは進行性の神経疾患で、患者の運動ニューロンが徐々に死滅し、筋肉の萎縮や運動能力の喪失を引き起こします。このような病態の解明と治療法の開発は、医学界でも非常に重要な課題とされています。その中で、iPS細胞の持つ再生医療の可能性に注目し、研究が進められてきました。
研究グループは、iPS細胞から下位運動ニューロンを誘導する効率的な方法を新たに確立しました。これにより、多くのiPS細胞から対象となるニューロンを効果的に得ることが可能となり、ALSの機序をより深く理解するための基盤が築かれました。
さらに、この研究ではArtificial Intelligence(AI)を活用した画像解析技術が取り入れられています。AIによる画像解析とシングルセル追跡技術を組み合わせることで、病気の表現型を簡易に、かつ高い再現性で評価する新たな手法が生まれました。この手法は、疾患モデルの確立や治療法の評価において、従来の方法よりも有効な手段となる可能性があります。
本研究の成果は、2024年12月19日にInternational Society for Stem Cell Researchの論文集「Stem Cell Reports」に掲載される予定です。これにより、ALSの研究や治療法の開発が進むことが期待されています。
慶應義塾大学が進めているこの研究は、医療の未来に向けた大きな一歩とも言えます。今後の展開に目が離せません。