障害学生の大学受験現状
2023-03-30 15:05:32

2022年度版 大学における障害学生の受験状況調査:現状と課題

2022年度版 大学における障害学生の受験状況調査:現状と課題



全国障害学生支援センターが実施した2022年度の大学における障害学生の受験状況調査結果を報告します。本調査は1994年から開始され、今年で28年目を迎えました。障害学生の進学における情報アクセスの課題を軽減し、自立と社会参加を促進することを目的としています。

調査概要



調査は2022年6月13日から12月5日にかけて実施され、全国819大学(大学809校、大学校10校)を対象とした全数調査です。回答数は389校で、回答率は48%でした。前回調査と比較して8校増加しています。

障害学生の在籍状況



調査によると、障害学生が在籍する大学は299校(回答数の77%)に達し、在籍者総数は14,101人に上ります。大学あたりの平均在籍者数は47.2人で、前回調査と比べて大幅に増加しています。障害種別では、発達障害(3,382人)、精神障害(5,031人)の在籍者数が多い傾向が見られました。

受験可否状況



受験可否については、全国障害学生支援センター独自の定義に基づいて調査されました。

受験可: 大学が障害学生からの問い合わせ前に、該当する障害種別の学生を受け入れることを決定している状態。
受験可否未定: 大学が障害学生からの問い合わせ後、状況をみて受験を認めるか判断する状態。

すべての障害種別において、「受験可」の大学数は減少傾向にあり、特に内部障害では顕著な減少が見られました。2016年の障害者差別解消法施行後、一時的に増加した「受験可」は、その後減少を続けている状況です。視覚障害や知的障害では、「受験可」の割合が他の障害種別と比べて低い傾向が依然として残っていますが、その差は縮小しつつあります。

受験可否未定の理由



「受験可否未定」とした大学に対し、その理由を調査した結果、「事前協議後検討」が最も多くを占めていました。これは、障害学生の受験可否が、大学との事前協議によって大きく左右されている現状を示しています。

受験時の条件



受験時における条件についても調査が行われました。肢体障害を例に挙げると、「入試時自分で身辺処理」「入学後は自分で身辺処理」といった厳しい条件を付ける大学も存在します。入学前に、入学後の配慮を制限するような条件を課したり、誓約書を求めることは適切ではないと考えられます。

受験時の配慮



受験時の配慮については、視覚障害、聴覚障害、肢体障害では前回調査と大きな変化は見られませんでしたが、内部障害では「配慮あり」と回答した大学が大きく減少しました。これは、調査方法の変更(「配慮あり」の場合、配慮内容の選択肢チェックが必須になった)が影響している可能性があります。

まとめ



本調査の結果は、大学における障害学生の受け入れ状況に課題が残されていることを示しています。大学側には、障害学生への理解を深め、より公平でアクセシビリティの高い受験環境整備が求められます。全国障害学生支援センターは、引き続き調査・情報提供を行い、障害学生の自立と社会参加を支援していきます。詳細なデータは、全国障害学生支援センターのウェブサイトや機関誌で公開されています。

会社情報

会社名
一般社団法人全国障害学生支援センター
住所
神奈川県相模原市南区上鶴間本町3-14-22田園コーポ3号室
電話番号
042-746-7719

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