IBMとAnthropic、エンタープライズ向けAIの未来を切り拓く
2025年10月、アメリカ・ニューヨーク州アーモンクにて、IBMとAnthropic社が戦略的パートナーシップを締結したことが発表されました。この連携は、世界屈指の大規模言語モデル(LLM)であるClaudeをIBMのソフトウェア製品に統合することを目的としており、エンタープライズ向けAIの開発を大幅に加速させることを目指しています。
この提携により、ClaudeはIBMのソフトウェア・ポートフォリオの一部として組み込まれ、特にエンタープライズ向けソフトウェア開発ライフサイクルにおける高度なタスク生成機能を持つ開発者ツールシステム(IDE)に実装される予定です。この新しいAIファースト型開発者ツールシステムは、非公開のプレビュー版としてごく一部のIBM顧客に提供されており、初期テストに参加した6,000人以上のエンジニアからは平均45%の生産性向上が報告されています。これは、実質的なコスト削減にも寄与しています。
AI技術をビジネスに取り入れる際、企業は既存のシステムと統合でき、厳しいIT要件にも応じられる解決策の必要性を感じています。IBMは、ハイブリッドクラウド・アーキテクチャや規制産業における専門知識を活かし、各企業の複雑なニーズに応えるAIツールを提供していきます。
IBMのソフトウェア製品担当シニア・バイス・プレジデントであるディネシュ・ニーマル氏は、「長年にわたり、企業がテクノロジーを効果的に活用できるよう支援してきたIBMだからこそ、ミッションクリティカルな環境における大規模展開の要素を理解している」と述べました。この新たなパートナーシップを通じて、企業群の期待に応える生産性の高いAIを実現していくことが求められます。
一方、Anthropic社の最高製品責任者マイク・クリーガー氏は、「企業は自社のデータや業務を信頼して任せられるAIを求めています。この度の提携により、安全で信頼性の高いAIをより多くの企業に提供していきます」と強調しました。これにより、AIエージェントが実際のビジネス環境で活用される道筋が示されます。
新しいIBM IDEは、開発者がさまざまなタスクを効率的にこなせるよう設計されており、特に大規模アプリケーションのモダナイゼーションや自動化されたコード生成が行えます。また、初期開発からテスト、デプロイまでのプロセスをシームレスに結びつけることができるため、従来のITプロセスの限界を克服する力を持っています。
さらに、IBMとAnthropicが共同で公開したガイド『MCPを活用したセキュアなエンタープライズ向けAIエージェントの構築』は、エンタープライズに応じたAIに必要なセキュリティーや機能を具体化し、設計から管理までのプロセスを体系化しています。この新たなアプローチは企業のAI導入をスムーズに進め、業務の自動化を推進するものです。
今後もIBMはClaudeをはじめとするAI技術を自社製品に組み込み、エンタープライズ向けの新たなソリューションを提供していくとしています。これにより、より多くの企業がAI技術の恩恵を受けることが期待されており、IBMとAnthropicの連携がどのように進展するか、目が離せません。