2024年10月7日より、横浜市で救急医療情報システム「NSER mobile」の実証事業が開始されます。この取り組みは、救急活動の効率化と情報の正確な共有を目的としており、2023年の救急出場件数が過去最多となったことを受けたものです。 具体的には、横浜市を北部、中部、南部の3エリアに分け、各エリアで異なるシステムによる実証が行われます。北部エリアではTXP Medicalが担当し、7つの救急隊と市内3か所の医療機関が参加します。2023年には、救急出動件数が254,626件に達し、その傾向は2024年にも継続しています。これに対応するため、横浜市は救急隊を過去10年にわたり増強してきましたが、現場到着までの時間が長くなっていることが課題です。救急活動のDX化を進めることで、今後も予想される需要の増加に迅速に対応できる体制を確立することが求められています。
NSER mobileは、救急患者情報の収集と共有をデジタル化し、効率的な搬送を実現するシステムです。患者情報を迅速に搬送先病院に送信することで、病院での受け入れ準備がスムーズに進むことが期待されています。 これにより、救急医療の透明性が向上し、従来の電話と紙の帳票に依存していたコミュニケーションが格段に改善されます。具体的な機能としては、病歴やバイタルサインの共有、動画や静止画の送信、一斉照会機能、診療科の応需可否情報などをリアルタイムでやり取りできるデータプラットフォームとしての役割も果たします。また、救急隊と医療機関の意見を基にシステムの最適化を進めることが重要です。
TXP Medicalは、医療データを基盤とした命を救うインフラを提供するスタートアップ企業です。彼らの基幹システムである「NEXT Stage ER」は全国の主要病院で稼働しており、救急医療の現場での実績も豊富です。 今回のNSER mobileの導入は、救急医療の現場における革新として期待されており、地域の救急体制の向上に寄与することが目指されています。横浜市の取り組みが今後の救急医療のスタンダードとなることに期待が高まっています。