ローデ・シュワルツとQualcommが実現した5G-Advanced向けの新技術
近年、5G技術の進展が目覚ましい中、ローデ・シュワルツとQualcomm Technologies社が手を組み、機械学習を駆使した革新的なチャネル状態情報(CSI)フィードバック技術の実証に成功しました。この技術は、5G-Advancedはもちろん、将来的な6Gネットワークに向けた重要なステップとなるでしょう。
チャネル状態情報(CSI)とは何か
CSIは、ネットワークの性能向上や接続するユーザーの数を最適化するために利用される重要なデータです。この情報を利用することにより、基地局とモバイル端末間の通信がより効率的かつ安定することが可能になります。さらに、AIやMLを用いた拡張により、性能の向上やユーザーの体験向上も期待されています。
実証実験の詳細
両社は、5G-Advancedネットワークに向けたCSIフィードバックの機械学習による圧縮を行い、従来の方法よりもスループット性能が51%向上したことを実証しました。この技術革新は、無線通信のネットワーク性能向上を図る新たなベンチマークとなります。
具体的には、ローデ・シュワルツのCMX500を使用し、Qualcomm® 5G Modem-RFを搭載したリファレンス・デザインにおいて動作するMLモデルと相互運用性を持たせることに成功しました。このことで、より効率的なチャネル状態情報の圧縮が可能になり、マッシブMIMO運用をオプティマイズすることができるようになりました。
ベンダ間の相互運用性によるメリット
今回の取り組みは、異なるベンダの機器間での相互運用性を確保する新たな枠組みを提供しました。これにより、5G-Advancedの商業的な展開に不可欠なテストと検証が可能となります。また、将来の6G規格では、AIを初めからエア・インターフェースの設計に統合することが期待されており、この実証はその重要な一歩となります。
ユーザーの独自性を生かすプラットフォーム
CMX500は、Open Neural Network eXchange(ONNX)フォーマットによる柔軟なMLモデルの統合をサポートしており、ユーザーは独自のAIアーキテクチャをテストすることが可能です。この汎用性は、さまざまな無線通信シナリオに応じた性能評価を実現し、無線技術の進化に寄与します。
ローデ・シュワルツでモバイル無線機テスタを担当するChristoph Pointner氏は、「CMX500の能力は、無線技術の革新とテストの進化を示しています」と述べています。彼は、AIによる無線テストの強化が無線通信技術において不可欠であることを強調しました。
展示予定のMobile World Congress 2025
この画期的な技術は、2025年にバルセロナで開催されるMobile World Congress(MWC)でDemonstrationされる予定です。両社は、新しいCSIフィードバック技術とその実用性について紹介します。また、デモ動画も早期に公開予定で、関心のある方は公式サイトを確認することができます。
我々は、ローデ・シュワルツとQualcommの協力により、未来の通信ネットワークの性能向上を見込んでいます。両社の取り組みは、業界全体における相互運用性の重要性を再確認させてくれるものです。これからもテクノロジーが進化する中、ますます重要になってくるAI/MLの導入を目指していくことでしょう。