進化するペロブスカイト太陽電池
最近、再生可能エネルギー源として注目を集めるペロブスカイト太陽電池の試作評価用インクジェット塗布装置が発表されました。この装置は、株式会社マイクロジェットによって開発されたもので、2025年6月17日から販売が開始されます。
ペロブスカイト太陽電池は、発電層としてペロブスカイトを含む特異な構造を有し、様々な機能層の組み合わせによって高い発電効率を、低コストで実現する可能性を秘めています。この電池の製造プロセスにおいて、薄膜形成技術が重要であり、インクジェット法がその一つとして研究されています。
塗布装置の特長
新型の塗布装置は、ペロブスカイト前駆体を溶解させるために必要な液体であるDMF(ジメチルホルムアミド)やDMSO(ジメチルスルホキシド)に対応しています。これらの高い溶解性を持つ有機溶剤は、インクジェットヘッドにダメージを与えることがあり、安定した吐出を維持するためには技術的な課題がありました。しかし、マイクロジェットはコニカミノルタ社の高耐液インクジェットヘッドと、自らの技術的ノウハウを組み合わせることで、この課題を克服しました。
Microjetの歴史と役割
株式会社マイクロジェットは、インクジェット技術の研究開発を27年以上にわたり支援してきた企業です。多くの大学や企業とのコラボレーションにより、多様な応用分野—ディスプレイ、バイオテクノロジー、3Dプリントなど—での研究を促進しています。特に、インクジェット技術は従来のプリンターの枠を越え、さまざまな産業で活用されています。
新たに作られた装置「PerovsPrinter」は、ペロブスカイト前駆体溶液への高い耐性を誇り、ペロブスカイト層の薄膜形成を安定的に実現します。この装置は、研究者がより容易にペロブスカイト太陽電池の開発を行うための強力なツールとなるでしょう。
組織の目標と今後の展望
Microjetは、今後もインクジェット技術に基づいて新たな製品を開発し、研究開発の支援を続けていく意向を示しています。初期投資が比較的リーズナブルな装置レンタルや、Feasibility Studyに向けた受託実験サービスも提供しており、さまざまな研究者のニーズに応えています。
会社情報
- - 会社名:株式会社マイクロジェット
- - 代表者:山口 修一
- - 本社:長野県塩尻市大門五番町79-2
- - 設立:1997年9月
- - 資本金:1000万円
- - 事業内容:インクジェット研究開発用機器の開発・製造・販売、受託試験・試作・工法開発、技術コンサルティング
- - URL: マイクロジェット公式サイト
このように、マイクロジェットはペロブスカイト太陽電池の研究において重要な役割を担っており、今後の進展が期待されます。彼らの新しい塗布装置は、その一環として、太陽光発電領域の革新を推進することでしょう。