福岡市中央区に位置する株式会社QPS研究所が、2024年7月22日に新しい研究開発拠点「Q-Space Innovation Palace」(略称:Q-SIP)の設立を発表しました。この新拠点の名前には、九州を意味する「Q」と、そこから派生する宇宙の航海を連想させる「SIP」が含まれています。
「Q-SIP」は、現在の工場の10倍以上の面積を誇る約4500㎡の広大なワンフロアで構成されており、全ての製造関連設備が整う予定です。この新しい施設では、移設工事やクリーンルーム、執務スペースの施工が進行中です。稼働は2024年11月から開始される見込みで、全ての移設工事が完了するのは2025年1月以降になる予定です。
QPS研究所は、小型SAR衛星のコンステレーションを構築し、準リアルタイムの観測データサービスの提供を目指しています。この新たな拠点は、衛星の生産能力を飛躍的に向上させ、最大10機の衛星を同時に生産する可能性があります。これによって、地球観測のさらなるカバー範囲と精度が期待されます。
代表取締役社長の大西俊輔氏は、「新拠点の設立は、応援してくださっている皆様に進捗状況をお知らせできることを嬉しく思います。『Q-SIP』の稼働により、私たちの準リアルタイム地球観測の実現に一歩近づけることができます」と述べています。さらに、ハードウェア開発課の福田大課長も、「『Q-SIP』は衛星の量産に必要な全ての設備が揃い、試験のための移動が不要になることで効率的な運営が可能になる」とコメントしています。
QPS研究所は軽量かつ強力な展開式アンテナを開発し、従来のSAR衛星の20分の1の質量と100分の1のコストで高解像度の地球観測を実現する小型SAR衛星「QPS-SAR」を準備中です。この高度な技術により、2027年度には最大24機、最終的には36機の衛星による平均10分毎のデータ提供サービスを目指しています。
2005年に福岡で創業されたQPS研究所は、九州宇宙産業の先駆者として、日本国内外での衛星開発や宇宙技術の発展に寄与しています。今後もQPS研究所のイノベーションは続き、宇宙産業の発展を後押ししていくことでしょう。新しい施設「Q-SIP」の稼働が待ち遠しいです。