フランスの大手金融機関であるクレディ・ミュチュエル・アリアンス・フェデラルは、IBMとの協業により、生成AIの展開を加速させ、顧客サービスの向上を目指すと発表しました。
クレディ・ミュチュエルは、2016年からAI導入の先駆者として、最先端技術への投資を続けてきました。現在、2万5,000人のアドバイザーが日常的にAIを活用することで、2023年には約100万時間の事務作業を削減。従業員と顧客へのサービス向上を実現しています。
今回のIBMとの協業では、企業が責任あるAIを開発するためのプラットフォーム「IBM watsonx」を導入。生成AIの開発と産業化を加速させます。クレディ・ミュチュエルは、IBM watsonxを活用し、35のAIユースケースを段階的に導入する予定です。最初のユースケースは今夏に利用開始される見込みです。
これらのユースケースは、アドバイザーが顧客とのコミュニケーションを強化するためのツールとして活用されます。例えば、顧客からのメールに返信するためのテンプレートや、担当業務を支援するAIアシスタントなどが提供される予定です。また、グループのIT部門の従業員の業務をサポートするパイロット試験も実施される予定です。
クレディ・ミュチュエルは、倫理的で信頼できるAIの構築を重視しており、IBMの「watsonx.governance」を活用してAI利用のガバナンスを強化します。同社は、AIの利用において、人間の尊厳とデジタルプライバシーを尊重する原則を定めています。
クレディ・ミュチュエルは、フランスのデータセンターでIT処理をほぼすべて行う「ソブリン・テクノロジー・バンク」として、自社で開発したソフトウェアを使用し、顧客データを安全に管理しています。
今回のIBMとの協業により、クレディ・ミュチュエルは、顧客サービスの向上、事務作業の効率化、従業員の負担軽減、倫理的なAI利用の実現を目指します。