仕上げ干渉を抑えたCFRPプレート用定着体『e-アンカー』の開発
株式会社コンステックと福井ファイバーテック株式会社が共同で開発した『e-アンカー』は、コンクリートの補強に用いられている炭素繊維強化プラスチックプレート、通称CFRPプレートの端部を定着させるための新しい技術です。この新技術は、施工時における仕上げの干渉を最小限に抑えるだけでなく、補強効果を発揮するための適切な定着長さを確保することを目的としています。
従来の課題
CFRPプレートを利用した補強工事において、直交壁などの障害物によって適切な定着長さを確保できない場合がしばしばあります。その結果、鋼板やボルトを用いた機械式定着が必要になることがありますが、これには施工後の仕上げとの干渉という問題があります。特に床スラブの補強では、施工後の使用性や居住性が損なわれることが懸念されていました。
e-アンカーの特徴
『e-アンカー』は、独自の成形技術によってプレートとストランドの一体型構造を実現しました。プレート部分はCFRPプレートに接着され、ストランド部分はコンクリートの孔内に挿入されます。この方法により、施工後の段差を最小限に抑え、仕上がりをフラットに保つことが可能になります。
施工の手順
1.
プレートとストランドの一体成形: 『e-アンカー』は、一端がプレート形状、他端がストランド形状を有します。
2.
孔内への挿入: ストランド部分を束ねた状態でコンクリート孔内に挿入します。
3.
接着処理: プレート部分がCFRPプレートに接着され、その上に炭素繊維シート(CFシート)が貼り付けられます。
4.
角度調整: ストランド部分は接着樹脂が硬化するまで柔軟性があり、施工時に角度の調整が可能です。
この方法で、厚さ3mmの『e-アンカー』が施工後の段差を約10mmに抑えることができます。
性能確認試験の実施
『e-アンカー』の性能を確かめるため、端部定着を想定した曲げ試験も行われました。その結果、定着性能が確認され、信頼性の高い技術であることが証明されました。
コンステックの企業背景
株式会社コンステックは、1969年に創業以来、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建造物における調査、診断から補修、補強工事までを手掛けてきました。彼らは、社会のニーズに応じた新技術の開発に力を入れ、安全・安心な持続可能な社会環境の提供に努めています。『e-アンカー』は、その技術革新の一環として開発されました。
まとめ
『e-アンカー』の開発により、施工後の干渉を抑え、より快適で機能的な空間を提供することができるようになりました。今後もコンステックは、社会に貢献する優れた技術を提供し続けていくことでしょう。