CO2分離・回収型IGCCの調整能力向上に向けた実証試験
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と大崎クールジェン株式会社は、2025年8月1日から、CO2分離・回収型IGCC(Integrated Coal Gasification Combined Cycle)の調整能力を向上させるための技術開発に関する実証試験を開始します。この試験では、電力系統の変動に対して発電出力を迅速かつ柔軟に調整できる新たな技術の開発が行われ、発電設備の耐久性評価も行われます。
実証試験の背景
名前の通り、IGCCは石炭をガス化し、そのガスを利用して発電するシステムですが、これにCO2分離・回収技術を組み合わせることにより、環境面での利点を生かしています。これまでに、NEDOと大崎クールジェンは、CO2回収効率90%以上を達成し、世界初のバイオマス混合率50%を目指した技術も開発してきました。
2030年までにカーボンニュートラルに向けた国の目標がある中、再生可能エネルギー導入の拡大も見込まれており、火力発電には需給の変動に対応した調整力が求められています。
実証試験の内容
この実証試験では、季節や時間帯における異なる電力需要パターンを考慮して、CO2分離・回収型IGCCの発電出力を調整し、各設備の調整手法や出力変動に伴う耐久性を検証していきます。これにより、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力系統の変動への対応力が実証される予定です。
今後の展望
実証試験を通じ得られる成果に基づき、環境に配慮した需給調整能力を有するCO2分離・回収型IGCCの社会実装が進められます。また、回収したCO2の一部は、近隣のカーボンリサイクル実証研究拠点に供給することで、さらなる研究開発に貢献していきます。
この試験は、広島県の豊田郡大崎上島町内にある中国電力の発電所で行われ、現在の環境問題に対する解決策となることが期待されます。新たな技術が進展することで、持続可能なエネルギーの実現に向けた一歩が踏み出されます。
まとめ
環境問題の深刻化に伴い、CO2や温室効果ガスの削減が急務となっています。そんな中、NEDOと大崎クールジェンが進めるIGCCの調整力向上に向けた実証試験は、未来への大きな希望となっています。今後の技術開発に期待が寄せられ、その成果が広く社会に影響を与えることを願います。