地域防災の新モデルを実践する橋本組の訓練活動
静岡県焼津市に本拠を置く株式会社橋本組は、地域防災の重要性を認識し、地元住民と協力して新たな防災モデルを構築しています。2025年11月11日、同社の拠点「B.B.BOXやいづ」で行われた地震や津波を想定した避難訓練は、その取り組みの一環です。
訓練の目的と背景
この避難訓練は、焼津市との間で締結された「津波発生時の一時避難場所確保に関する協定」に基づいています。橋本組のビルは地域住民が利用できる「津波避難ビル」としての役割を果たすことを目指しています。日本では自然災害が頻発する中、企業の建物を地域のインフラとしてどう活かすかが重要な課題となっています。
地震と津波への対応
訓練は午前9時に開始され、館内放送とともに全社員が机の下に避難をし、その後、5階の食堂とテラスへの避難へと続きました。この訓練では、必要な行動手順を確認し、迅速かつ混乱のない避難が行われました。特に、揺れへの初動や、津波発生に備えた高所避難の実施、避難完了までの時間計測に重点が置かれています。これにより、実災害時に求められる行動の精度を向上させました。
防災DXの推進
訓練中には、緊急連絡・安否確認システム「オクレンジャー」が活用され、本人や家族の安否、自宅の被害状況などの情報をリアルタイムで収集・整理しました。このシステムは2020年から導入されており、橋本組は防災DXの中心として、初動の迅速化や事業の継続性を高める取り組みを進めています。
協定に基づく避難ビルの活用
焼津市との協定により、橋本組は大規模災害発生時に本社ビルの5階と階段を無償で提供することになります。市がこの施設を借り受けて地元の自主防災会が運営するという形で、地域防災体制が構築されています。また、地元の自主防災会は毎年避難訓練を実施し、住民が自ら避難経路を確認し、実際に避難行動を体験することで、災害時に備えた実践的なスキルを身につけています。
心理的なハードルの除去
橋本組は日常から地域に開かれた施設運営を行うことで、「民間企業に避難してもいいのか」という心理的障壁をなくす取り組みを行っています。イベントスペースを提供することで、住民が気軽に施設を利用できる環境を整えています。これにより、いざという時の避難行動が円滑に行えるようになります。
実際の避難の経験
今年7月、カムチャッカ半島沖地震による津波避難指示が出た際、近隣住民が実際に「B.B.BOXやいづ」へ避難しました。橋本組の社員が避難者の受け入れを担当し、訓練で得た知識や経験が地域住民の保護に大きく寄与しました。これにより、橋本組のプログラムの重要性が改めて確認されています。
まとめ
橋本組は「避難ビルに指定されているから安心」とするのではなく、事前からの地域との信頼関係の構築や連携が安全な避難につながるとの理念を掲げています。この取り組みは、民間企業が地域の防災に寄与する新しいモデルとして注目されており、今後の展開が期待されます。