岡山大学とJOYCLEが進める新たな廃棄物処理システム
岡山大学病院と株式会社JOYCLEは、災害医療における廃棄物処理の革新を目指し、共同研究を開始しました。この研究では、病院で発生する感染性廃棄物を効率よく処理し、かつコストを削減することを目的としています。
背景:病院廃棄物処理の現状
医療機関は、特に感染性廃棄物の処理において高額なコストがかかっており、年間数千万円以上を要することも少なくありません。これらの廃棄物は主に外部焼却や埋立に頼っているため、運搬リスクや環境負荷といった問題が常に存在していました。特に災害時には、感染性廃棄物が現場に滞留し、さらなる感染症の拡大を招く恐れがあります。
共同研究の内容
今回の研究では、JOYCLEが開発した「JOYCLE BOX」という小型装置が岡山大学病院に設置されます。この装置は廃棄物を滅菌・減容・資源化する機能を持っており、以下の検証が行われます。
- - 熱処理による感染性廃棄物の無害化と減容効果の可視化
- - 分散処理によるコスト削減効果の可視化
- - 分散型防災インフラの構築
- - 廃棄物処理時の熱を活用した発電技術の実証
この研究は、岡山大学の平山隆浩助教が主導し、感染症内科の萩谷英大准教授が技術面でサポートしています。研究は岡山大学病院高度救命救急センターの中尾篤典教授の監督のもとで進められます。
未来への展望
この共同研究からは、病院での廃棄物処理方法の見直しや、自律的な処理モデルの確立が期待されています。将来的には他の病院にも展開し、装置のレンタル提供などによって処理コストを削減するプランも検討しています。目指すは、コストを最大約50%削減できる新たなモデルの確立です。
JOYCLEのビジネスモデルは、地域の廃棄物処理会社と連携し、病院向けに装置を月額制で提供することを想定しています。このモデルによって、運搬処理に関連する問題を軽減し、病院のコストを引き下げつつ、同時に従来の運搬処理以上の利益率を確保する構造を目指します。
JOYCLEについて
JOYCLEは「資源と喜びが循環する社会」を理念に、再生可能エネルギーや資源循環を基にした分散インフラの構築を目指しています。「JOYCLE BOX」を核とするこの新しい取り組みにより、焼却炉の減少やドライバー不足といった課題を解決し、持続可能な社会実現に寄与していくことを目指します。
これからのJOYCLEの動きに目が離せません。