ガザ地区の農業、紛争による壊滅的な影響を受ける
ガザ地区での激しい紛争が続く中、国連食糧農業機関(FAO)と国連衛星センター(UNOSAT)の最新分析が発表され、農業への影響が深刻化しています。この衛星データによれば、2024年9月1日までにガザの農地の67.6%にあたる約10,183ヘクタールが被害を受けたことが示されており、これは2024年5月の57.3%や2月の42.6%から大幅に増加しています。特に果樹園や野菜なども大きな影響を受けており、今後の人口の食料供給に対する懸念が増しています。
農業インフラの現状
今回の分析では、ガザの農業インフラにも甚大な損害が生じていることが明らかになりました。約1,188基の農業用井戸のうち52.5%が損傷し、577.9ヘクタールの農業用温室がマークされています。特にハン・ユニスでの被害が顕著で、ここでは農地の61.5%にあたる2,589ヘクタールが損失を受けており、北部ガザ地域では被害割合が78.2%に達しています。
漁業や家畜への影響
ガザ市の港も厳しい状況にあり、多くの漁船が破壊されています。さらに、家畜の死亡率も高く、約15,000頭の牛が影響を受け、ほぼすべての子牛が屠殺されています。羊や山羊についても多くが失われており、家禽部門では生存している数がわずか1%に限られています。これにより、ガザの食料生産力が急激に低下しています。
FAOの取り組み
FAOは、農業支援を通じてガザの人々に支援を行っていますが、紛争によって物資の搬入が制約されています。FAOは2024年9月29日までに、ラファハ、ハン・ユニス、デイル・アル=バラフで6,800頭以上の家畜の飼料や医療用品を提供しました。さらに、必要となる際に、農業支援物資を届ける準備が整っています。FAOのベス・ベクドル事務局次長は、「食料援助だけでは日々のニーズを満たすことは難しい」と警告しています。
今後への影響
今回の農地やインフラへの影響は、ガザにおける飢餓リスクの高まりを示しており、他の国連機関や人道支援団体との連携を強化する必要があります。200万人以上のガザの住民が緊急の食料と生活支援を必要としており、引き続き深刻な状況が続く中で、人道的アクセスの問題を解決することが急務となっています。衛星データに基づく分析が、今後の人道支援に役立つことが期待されます。