海外ビジネス現場における生成AIの利用実態
株式会社ロコタビの調査によると、海外に在住する日本人の約9割が業務で生成AIを利用していることが明らかになりました。この調査は、米国、カナダ、オランダ、韓国、タイ、オーストラリア、台湾、ベトナムの8カ国に住む日本人26名を対象に実施されました。
調査結果の概要
調査結果によると、26名中23名(88%)が最近3カ月間に仕事で生成AIを利用したと回答しており、そのうち「ほぼ毎日」使用しているという方も15名(58%)に上りました。さらに、利用者の87%が、勤務先や取引先での生成AI利用が前年と比較して増えたと感じていることに注目が集まります。
一方で、生成AIを利用する際のルールが整備されていない状態も見受けられ、利用者の8割以上が「個人判断」で利用していることが明らかになりました。これは、やはり日本国内の状況とも共通しており、組織的なルールが不在のまま「現場先行」で使われている実態が浮かび上がります。
特に増加している用途
調査で特に多かった利用用途は、「翻訳・多言語対応」(83%)、次いで「メール・文章作成」(78%)でした。多言語環境の中で働いている日本人にとって、翻訳のニーズが高いことが示されています。使用しているサービスとしては、ChatGPTとGeminiが最多で、次いでClaudeやMicrosoft Copilotが利用されています。
効果としては「作業時間が短縮された」や「翻訳や多言語対応が容易になった」という声が多く寄せられましたが、AIを使用することで確認や修正作業が増えたことも指摘されています。また、生成AIの利用に際しての課題としては、回答の正確性を挙げる利用者が87%にのぼり、機密情報や個人情報の扱いも大きな懸念とされています。
AIと人間の役割分担
自由記述の中では、国ごとの商習慣や言語に基づく意見が寄せられ、「下書きはAIに任せて、最後のトーン調整は人が行う」という共通した見解が見えてきました。特に、日本的な丁寧さが過剰になる場合には、相手に不安感を与えかねないため、最終的な調整は人間が行う必要があるとのことです。このようなAIによる翻訳ではうまく対応しきれないニュアンスがあり、現地の文化やビジネス習慣をしっかり了解する必要があります。
例えば、カナダの広告・マーケティング業界では、教育現場で教師が積極的にAIを使用し、翻訳にも機械翻訳ポストエディット(MTPE)の案件が増えてきています。それに対して、台湾では顧客対応においてネイティブとの表現の違いの指摘が多く、やはり人間の目が必要となる場面が多いため、 AIの活用には限界があるとされています。さらに、韓国では生成AIの活用が日常化しつつも、業務のフォーマル度合いを理解できない人も多いようです。
まとめ
全体として、海外のビジネス現場での生成AIの利用は急速に進展しています。その一方で、組織的なルールが整備されていない現状や、言語や文化の壁がAIの限界を感じさせる部分も多々あります。しかし、現場のニーズや特性をしっかり受け止めた上で、AIをうまく活用することで、さらなる業務効率化が期待できるのではないでしょうか。海外市場調査や現地商談など、ロコタビの法人向けサービスを通じて、現地の目を借りることも重要です。