ジョン・D・パワー2025年米国EVエクスペリエンス調査
2025年に実施された米国のEVエクスペリエンスに関するオーナーシップ調査が、米国のトロイに拠点を置くJ.D. パワーによって発表されました。今回の調査は、2024年および2025年型のバッテリー式電気自動車(BEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)のオーナーを対象に行われ、顧客の満足度や所有体験の変化について詳細なものとなっています。
調査によると、昨年は顧客満足度が下がったものの、今年はプレミアムBEVとマスマーケットBEVの満足度スコアが改善されるという好結果を得ました。特に、バッテリー式電気自動車の市場シェアは前年の8.4%から2024年には9.1%に増加する見込みです。この背景には、トランプ政権によるEV税制優遇措置の廃止が影響を与えていることが挙げられます。
調査の主なポイント
1. 顧客への情報提供の重要性
EVの所有体験を向上させるためには、顧客に対する情報提供が非常に重要です。初めてのBEV購入者の69%が購入時に何らかの情報提供を受けていますが、その内容は機能の使い方に偏りがちで、総コストに関する情報提供は12%と低い限りです。このことから、より詳細で役立つ情報を提供することが必要とされています。
2. マスマーケットBEVとプレミアムBEVの品質差
興味深いことに、マスマーケットBEVのオーナーは、プレミアムBEVよりも不具合の経験が多いものの、そのギャップは縮小しています。調査によると、品質が総合的な所有者満足度に大きな影響を及ぼすことが明確になっています。
3. プレミアムPHEVの登場
プレミアムPHEVセグメントは新たに導入され、満足度スコアがプレミアムBEVに迫る結果となりました。完全なEVに移行することに躊躇する顧客には、PHEVが魅力的な選択肢なり得るでしょう。
4. 公共充電インフラの満足度向上
公共充電の利用に関する満足度には依然として差がありますが、マスマーケットBEVでの改善が見られました。特に新たなインフラの整備とテスラのスーパーチャージャーの利用が増えており、充電のしやすさについての満足度が前年比で86ポイント向上しました。
EVオーナーの再購入意向
驚くべきことに、94%のBEVオーナーが次回もBEVを考慮する意向を示しています。この数値は過去数年にわたり安定しており、EVへの高い依存度が示されています。また、次回の購入時にエンジン車を検討するBEVオーナーの割合はわずか12%です。
ますます多くの顧客がEVを選択する理由はその体験にあり、ポジティブな体験を提供することが、ブランドへのロイヤルティを高める鍵となっています。
J.D. パワーによる今後の展望
J.D. パワーでは、2025年のBEV市場シェアがほぼ横ばいになるとの予測も出ていますが、2030年には26%に達する可能性を示唆しています。控除制度の変化や充電インフラの整備により、EV市場には様々な課題が残ると予測していますが、顧客の強い支持を背景に、今後も一定の成長が期待されるでしょう。
まとめ
この調査結果を受け、J.D. パワーではBEV市場の今後に大きな期待を寄せており、EVオーナーの意見をベースに新たな施策が求められるでしょう。顧客満足度の向上を目指し、EVメーカーには真摯な取り組みが期待されます。