日鉄エンジニアリング、液化CO₂球形タンクの大型化技術を確立

液化CO₂球形タンクの大型化技術の確立について



日鉄エンジニアリング株式会社が、液化CO₂球形タンクの大型化に関する新たな技術を確立したことを発表しました。この技術は、日本CCS調査株式会社と共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した「CCUS研究開発・実証関連事業」に基づき開発されたものです。具体的には、液化CO₂を低温・低圧の条件下で大量に輸送するためのシステムであり、今後の実用化が期待されます。

これまで、国内での液化CO₂球形タンクは、温度が-20℃、圧力が2.0MPaという制約のため、貯蔵可能な容量が850トン程度と限られていました。しかし、実証試験においては、-50℃、0.7MPaの条件下での液化CO₂の運搬を想定した大型化が目指され、その技術的ハードルをクリアしたのです。

液化CO₂の球形タンクの大型化を実現するために、特に重要だったのが高強度かつ低温環境でも靭性を持つ溶接技術の開発です。日鉄エンジニアリングでは、60kg級炭素鋼の溶接法を確立し、38mm以上の板厚でも現場での溶接後熱処理が不要になるよう工夫しました。実際、-50℃での溶接継手性能を確認するための破壊靭性試験も行われ、多くの溶接材料でその性能をテストして公的機関から認証を受けることに成功しています。

さらに、液化CO₂球形タンクの加工・組立作業時には様々な溶接姿勢を想定した性能試験も実施され、効率的な組立作業が可能となっています。これにより、今後の液化CO₂輸送効率が大幅に向上することが期待されています。

加えて、日鉄エンジニアリングは、将来的な熟練溶接工の不足に対応するために、現地組立作業用の自動溶接機も開発しました。この自動溶接機は、効率化を図るだけでなく、JCCSから受注した液化CO₂球形タンク建設の際の現地溶接にも応用されています。

日鉄エンジニアリングは、これらの技術を用い、CCUS関連事業への取り組みを通じて、持続可能な社会の発展に貢献することを目指しています。新しい技術の確立は、環境問題への対応やエネルギーの持続可能な利用に向けた重要なステップとなるでしょう。

今後も、この大型化により、年間100万トン規模での液化CO₂の船舶輸送が実現可能となり、環境負荷の低減に寄与することが期待されています。液化CO₂の効率的かつ大規模な輸送が可能となることで、効果的に脱炭素社会の構築に寄与することになると考えられています。

会社情報

会社名
日鉄エンジニアリング株式会社
住所
東京都品川区大崎一丁目5番1号大崎センタービル
電話番号
03-6665-2000

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