宮城県での新しい下水処理技術の実証が始まる
令和7年度、国土交通省の革新的技術実証事業「AB-Crossプロジェクト」において、宮城県、地方共同法人日本下水道事業団、メタウォーター株式会社の三者が開発した新しい下水処理技術が採択された。この技術は、「好気性グラニュールによるダウンサイジング可能な下水処理技術」と名付けられている。
好気性グラニュール技術とは
本技術は、オランダのHaskoning社と提携し、好気性グラニュール(グラニュール汚泥)を使用した水処理技術「Nereda®技術」を基にしている。好気性グラニュール法では、反応タンク内で粒状の汚泥を形成し、そこで有機物や窒素、リンを取り除く。従来の活性汚泥と比較して、この技術は沈降性が高く、好気部、無酸素部、嫌気部を内包する特性がある。
実証事業の概要
実証実験は宮城県の阿武隈川下流流域下水道、県南浄化センターで行われる予定で、処理能力は1日あたり4,000 m³。この実験では、流入・流出、曝気、沈殿の三段階の処理プロセスを通じて技術の有効性が確認される。特に、流入下水量に応じて施設規模を段階的に縮小することができ、必要な設備が減少することでコンパクトな施設が実現する。
期待される効果
本技術の導入により、施設は格段に省エネ化され、冷暖房などの動力コストが削減される。経済面でも建設費や維持管理費の低減が期待されており、環境面ではCO2排出量の削減にも寄与する。また、高度な処理施設の再構築も進むため、水環境全体の改善に寄与する。
社会的意義
この技術は、災害復旧や耐震性の向上など、社会的な課題に対する解決策ともなり得る。ダウンサイジング技術に対応することで、持続可能な社会の実現に向けた一歩となる。
最後に
メタウォーターと日本下水道事業団、宮城県は共同で、この革新的技術を通じて下水道事業のさらなる発展に寄与することを目指している。今後、実証実験を通して得られた知見を基に、この技術がより広く普及することが期待される。