ZeveroとTai Sin社が提携しESG報告体制を強化
脱炭素経営の支援を行うグローバルスタートアップの株式会社Zeveroが、電線・ケーブル製品を製造するTai Sin Electric Limitedと提携を発表しました。この協業は、シンガポール証券取引所の開示義務に備え、ESG(環境・社会・ガバナンス)報告の基盤を強化することを目的としています。Zeveroにとって、シンガポール証券取引所に上場企業との協業はこれが初めての試みです。
Tai Sinのサステナビリティへの取り組み
Tai Sin Electric Limitedは、1970年代から電力ケーブルやワイヤー製品を手がけるシンガポールの大手企業であり、サステナビリティの分野でも数々の先駆的な施策を実施してきました。特に、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の新しい気候関連開示要件を満たすために、Zeveroをパートナーとして選定。これにより、ESG報告のインフラを整え、監査対応能力を向上させることが期待されています。
Zeveroの代表取締役である谷内樹生氏は、Tai Sinが業界でのサステナビリティの先駆者であることを称賛し、AIを活用したデジタルプラットフォームを通じて、排出量のトラッキングとデータ精度を大きく向上させることができるとコメントしています。このデジタルプラットフォームは、手作業のスプレッドシートではなく、より効率的な運用を実現するためのものです。
ESG報告の効率化とデータ整合性の確保
新たな提携により、ZeveroのAIデジタルプラットフォームはTai Sinの二酸化炭素排出量データを一元化し、報告プロセスが大幅に効率化されます。複数の拠点からの数値は、光熱費や燃料請求書などの検証可能な資料と紐付けられ、データの整合性が保たれる仕組みです。また、Zeveroは四半期ごとに社内向けのESGレポートを提供し、Tai Sinの持続可能性とガバナンスへの取り組みを一層強化します。
このデジタル改革は特に重要です。なぜなら、2025年度からシンガポール証券取引所上場企業にはISSBのスコープ1・2排出量開示が義務化されるため、Zeveroのプラットフォームは高いトレーサビリティと正確性を確保しつつ、将来的なスコープ3開示や保証義務に備える基盤を整えることが期待されます。
Tai Sinの経営企画本部長からのコメント
Tai Sinのグループ経営企画本部長であるウィリー・チュア氏は、今回の協業を単なる技術的なアップグレードに留まらず、規制中の期待に応えるための戦略的ステップであると位置づけています。Zeveroは、技術力と実務支援の双方で強力なESGインフラの構築を助ける存在として寄与するのです。
Tai Sinは2018年よりサステナビリティレポートを発行し、環境製品宣言(EPD)や業界横断的なフォーラムを通じて先進的な取り組みを続けています。この協業により、データ品質の向上と排出量の追跡精度が強化されることで、シンガポールのGreen Plan 2030などの国家的な持続可能性目標への貢献が期待されます。
企業情報
Tai Sin Electric Limited 1980年に設立されたTai Sinは、シンガポール最大級の電力ケーブルおよびワイヤー製品のメーカーで、産業、商業、住宅、インフラに幅広く製品を供給。シンガポール、マレーシア、ベトナムに製造拠点を持ち、信頼性の高い製品を提供しています。
株式会社Zeveroは、企業のサステナビリティ戦略をサポートするプラットフォーム&コンサルティングを提供するグローバルスタートアップです。AI技術を駆使した排出量の可視化、削減アクションの実施支援などを行っており、20カ国以上の企業にサービスを展開しています。
この提携によって、両社が持つ技術やノウハウの相乗効果が期待され、ESG報告の未来を切り開く新たな可能性が広がります。