日本マーケティングのAI化とその実態
最近、HubSpot Japan株式会社が「日本のマーケティングに関する意識・実態調査」を実施しました。この調査は、従業員数50人以上の企業・団体に属し、マーケティング職に従事しているビジネスパーソン787名を対象にしています。その結果、マーケティングの現場でのAI活用が広がっていることがわかりました。
特に、生成AIの利用が81.6%に達し、その中の81.1%の人々が業務の役に立つと実感していることが示されました。これは、生成AIの実用性が現場で確立されてきたことを示しています。
マーケターによるAI活用の実態
調査では、生成AIを業務に利用している人の割合が高まっており、週1回以上の頻度で使用する層は52.7%に達しました。対照的に、まったく利用していない層は18.4%と低くなっています。このデータからも、新しい技術を積極的に取り入れる意識の高まりが見受けられます。
使用されているツールとしては「ChatGPT」が最も人気があり、56.4%のマーケターが利用しています。他にも「Copilot」や「Gemini」の使用も増加しています。また、有料版ツールの利用者が増えているのも特徴的です。
顧客行動の変化とその対応
約7割のマーケターが「顧客行動の変化」を感じているものの、施策の見直しを実行しているのはわずか24%にとどまっています。特に、生成AIを使用する頻度が高い人は、顧客行動の変化を敏感に感じ取りつつ、実際の行動に移している傾向が見られました。
この「認識と行動のギャップ」は、マーケティング戦略において大きな課題です。顧客の変化を感じ取っているにもかかわらず、それに応じた対応に至っていない企業が多いことが明らかになりました。
HubSpotの洞察
HubSpot Japanのシニアマーケティングディレクター、伊佐裕也氏は「調査結果は、AIを積極的に利用しているマーケターが顧客行動の変化を敏感に察知し、それに対して行動変革を進めていることを示しています。」と述べています。つまり、眼前の環境変化に対してどのように対応していくかが、今後のマーケティングにおいて極めて重要になるということです。
これからのマーケティング戦略
これからの日本のマーケティング組織が企業の競争力を高めるためには、顧客の変化を正確に把握し、その変化に合わせて組織や施策を見直すことが欠かせません。HubSpotでは、顧客の行動に起きている変化を深く理解し、それに基づいた行動を提案しています。また、自社の独自性を言語化することで、AIによるコンテンツの量産が進む中でも、真に顧客に響くメッセージの構築が可能になるとしています。
そのためには、何から手を始めればよいのか迷う企業も多いことに配慮し、HubSpotはまず「自社らしさの整理・言語化」から始めることを推奨します。AI活用が今後のマーケティング活動において必須となる中、基盤となるメッセージづくりが非常に重要です。
結論
この調査結果は、生成AIの活用が進む一方で、顧客行動への対応が遅れている現状を浮き彫りにしています。今後、日本のマーケティング業界がより競争力を高めるためには、AIを活用した新しいマーケティングフレームワーク「Loop Marketing」の採用や、顧客の変化への敏感さが大いに求められるでしょう。