データとアートが導く滋賀の新たな農業の未来

トヨタ・コニック株式会社が中心となり、地域の共創を目指して設立された「DAS LAB」が、東京農工大学の研究チームと手を組み、滋賀県高島で新しい農業プロジェクトを始動しました。この取り組みは、データサイエンスとアートを融合させ、「信じられる米」の製造を目指しています。TQ社は「データで、ありがとうをつくる仕事。」を掲げ、そのビジョンを実現することで、地域農業の未来に貢献しようとしています。

滋賀の地域課題に挑む新たな視点

これまで約3年間にわたって滋賀県でのフィールドワークを行ってきたTQ社は、過疎化や高齢化などの課題を抱える地域の農業を支えるために動き出しました。特に「ウォーター・セントリック」という視点を採用し、琵琶湖をはじめとする水資源の価値を優先的に考えることが、今後の社会や産業の未来を構想する上での鍵となっているのです。今回はこの視点をもとに高島を実験地として選び、環境問題や農業の課題に向き合っていくことを目的としています。

データとアートの融合による新たな農業モデル

DAS LABが採用した「データアート＆サイエンス（DAS）」という新しいアプローチは、データによって過去から現在の状況を読み解きつつ、アートを通じて未来に向けた問いを創出するものです。これにより、農業だけではなく、環境や経済、暮らしといった幅広い視点から次世代の農業の形を模索します。

実証実験から導き出す3つの価値

2025年の春から始まる実証実験では、高島地区の水田で以下の3つの価値を目指していきます。
1. 水環境に優しい米作り
　多様なデータを駆使し、琵琶湖の水環境への影響を見直すことで、持続可能な米作りを実現します。
2. 農家の負担軽減と収穫量の安定化
　最新技術を用いて、気候変動による影響を軽減し、農家を支える仕組みを構築します。
3. 透明性のあるトレーサビリティの確立
　農業データが可視化されることで、消費者に信頼されるブランドとしての米を提供します。

地域とともに育てる「信じられる米」

DAS LABは、農業の生産過程や環境への影響を追求し、そのデータを記録することで新たな価値を生み出していきます。このプロセスを通じて消費者との信頼関係を構築し、農業の未来を共に考える場を提供します。また、プロジェクトの一環として「データサイエンス棚田」を再活用する計画もあり、地域住民や企業が参加できる体験型の農業も推進しています。

共創の場「滋賀FUTURE THINKING WEEK」

プロジェクトの初動として、2025年春に彦根市で「滋賀FUTURE THINKING WEEK」が開催されました。アーティストや研究者、地域住民が集まり、共に滋賀の未来を考える素晴らしい機会となりました。今後もDA LABは、東京農工大学の研究チームや地域の農業関係者、自治体など多様なパートナーとともに、テクノロジー、データ、アートをワンセットにして、新しい農業を育てていきます。

「滋賀FUTURE THINKING WEEK」公式サイトはこちら。