2024年8月のM&A(合併・買収)統計が発表され、件数と取引額ともに新たな最高記録を更新しました。具体的には、適時開示されたデータによれば、8月のM&A件数は111件で、前年同月と比べて18件増加し、8月としては過去最多。加えて、取引総額も1兆5454億円に達し、こちらも前年同月比で415億円増加し、8月の記録としては最高を記録しました。これは、上場企業に適用される経営権移転を伴うM&Aの情報を元にした集計結果です。
また、2025年1月から8月の期間でのM&A件数は855件であり、前年同期と比較して10.3%の増加を示しています。2024年における通年の過去最高記録1221件を上回る可能性が高まっている状況です。さらには、金額面でも6月に実施された豊田自動織機のトヨタグループによる非公開化など、いくつかの大型案件の影響を受けて、2025年の1〜8月の合計金額は14兆8831億円に達しました。これは前年同期の金額の2倍以上に相当し、2008年以来の最高記録を更新するペースです。
今年のM&A市場において顕著なトレンドは、上場企業が資本効率の改善を求められている中、TOB(株式公開買い付け)による非公開化が増加している点です。これは、アクティビストからの要求に対抗するためでもあり、8月における上位10件のM&Aのうち7件がTOBによるもので、いずれも上場企業が売り手となる事例が目立ちました。特に、東証がグロース市場の上場基準を見直すにあたって、上場を維持し続けることを諦める企業が増加しているという背景もあります。
8月の主要なM&A取引のランキングには、トップにSOMPOホールディングスが位置しており、米損害保険会社のアスペンを子会社化する取引が5217億円で行われました。2位のテクノプロ・ホールディングスは、米ブラックストーンによるTOBを受け入れ、株式を非公開化しています。また、大成建設は海洋土木大手の東洋建設をTOBで子会社化し、取引金額は1598億円となっています。
このように、2024年のM&A市場は活況を呈しており、将来的な事業再編や企業戦略の見直しが進む中、さらなる変化が予想されています。今後のM&A動向から目が離せません。これらの情報は、M&Aに関心を持ち、さらなる知識を深めるための貴重なデータとして利用されることでしょう。
M&A Onlineはこのような動向を受けて、M&Aをもっと身近に感じ、社会課題の解決や経済のイノベーション実現に向けて情報発信を行っています。M&Aの世界に興味を持ち、さらに掘り下げて学んでいくことが求められる時代です。今後も引き続き、この分野に注目が集まります。