水の新構造と特性
2025-09-22 10:39:05

ナノ単結晶細孔で明らかになった水の新しい階層構造と前融解状態の特性

ナノ単結晶細孔で明らかになった水の新しい階層構造と前融解状態の特性



東京理科大学と金沢大学の共同研究チームが、ナノ単結晶細孔に閉じ込められた水の新しい階層性と特異な物性を解明しました。この研究で用いられたのは静的な固体2H NMR技術です。具体的には、ナノ結晶細孔に閉じ込められた重水(D2O)クラスターの前融解状態を初めて観測し、その性質を明らかにしました。この発見は、エネルギー貯蔵材料や生体膜の理解に重要な示唆を与えるものとなります。

研究の背景と目的



この研究に関わった田所誠教授や小林文也講師、並木智哉氏らは、ナノ単結晶細孔を合成し、そこで水の構造と挙動を調査することで、固/液界面における水の挙動を解明しようとしました。固体と液体の境界にある水は、一般的な液体とは異なる性質を示すことが知られていますが、その詳細を理解することは難しい課題でした。本研究は、1.6 nm以下のナノ細孔に閉じ込めた水を対象にしました。

研究手法と主要な発見



研究チームは、固体2H NMRを用いて、閉じ込められた水分子クラスターの階層性を詳細に測定しました。これにより、ナノ結晶細孔に閉じ込められた水が「前融解状態」と呼ばれる特異な事象を経ることを確認しました。この状態では、一部のD2O分子が水のように動く一方、他のD2O分子は氷の状態を保持しています。

観測によると、D2OのO原子位置は固定されているものの、D原子は通常の液体同様に激しく回転していることが確認されました。この発見は、ナノ単結晶細孔に閉じ込められた水の挙動を理解する上でも新たな基盤を提供します。

また研究結果は2025年に「Journal of the American Chemical Society」に掲載される予定であり、今後の水の科学や材料科学において重要な知見として活用されるでしょう。

研究の応用可能性と今後の展望



本研究成果は、生体膜機能の理解や高効率なエネルギー貯蔵材料の開発においても期待されます。水の構造と性質についての新たな知見は、エネルギーの貯蔵方法や生体システムでの水の役割について再考を促進するものとなるでしょう。

田所教授は、「この研究が水の科学の発展に寄与することを願っています。また、ナノ結晶細孔に閉じ込められた水の振る舞いを理解することで、私たちの知らなかった新たなエネルギー貯蔵法や材料の開発につながることが期待されます」とコメントしています。

この研究は日本学術振興会の支援を受けて行われました。


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