抗がん剤治療と歯科
2025-03-04 05:20:21

岡山大学の研究、抗がん剤治療中の栄養状態と歯科的要因の関連性を解明

岡山大学が発表した抗がん剤治療中の栄養状態と奥歯の関連性



国立大学法人岡山大学は、食道がん患者における抗がん剤治療中の栄養状態の悪化と歯科的因子の関連性について新たな研究成果を発表しました。この研究は、さまざまな因子が栄養状態に与える影響を調査し、特に「奥歯のかみ合っている数」が栄養状態に及ぼす影響を分析しました。

研究の背景と目的



食道がんの術前抗がん剤治療は、患者の栄養状態に深刻な影響を及ぼすことがあります。栄養状態が悪化することは、手術後の回復や予後にも大きな影響を及ぼすため、適切な対策が必要です。この研究は、栄養状態の悪化に関与する要因を特定し、早期に介入することが重要であることを示しています。

予想外の発見



研究チームが行った調査の結果、予想に反して「かみ合っている奥歯の数が多い患者」において栄養状態が大きく悪化していることが明らかになりました。これに対し、かみ合っている奥歯の数が少ない患者は、もともと全身の健康状態が悪かったため、治療前にすでに歯科や栄養の専門家が介入しており、一貫して栄養状態が維持されていました。

研究の詳細



この研究を行った岡山大学病院の山中玲子助教や、江國大輔教授らのチームは、食道がん患者の予後推定栄養指数(PNI)が抗がん剤治療により有意に低下することと、奥歯のかみ合わせの数との関連性を探索的に分析しました。結果として、奥歯のかみ合わせの数が多い患者のPNIが顕著に低下し、治療中の栄養状態が劣化したことが確認されました。

早期介入の必要性



この研究から導き出された重要な教訓は、すべての患者において、多職種の専門家チームによる早期介入が必要であるということです。特に術前抗がん剤治療前から口腔内や栄養状態に関する管理を行うことで、治療の持続可能性が高まるとされています。実際に、別の研究では多職種チームの早期介入により、抗がん剤治療中の口内炎が軽減し、手術後の体重減少を抑えることができたとのデータもあります。

今後の展望



岡山大学では、食道がんの患者における栄養管理のため、さらに多くの研究が行われる予定であり、特に歯科的な介入がどのように患者の健康に貢献するかに注目が集まっています。また、今回の研究成果は、スイスの栄養関連科学雑誌「Nutrients」にも正式に発表され、学術界でも関心を持たれていることがうかがえます。

山中助教のコメント



山中助教は、「以前の研究では、術前にPNIが低い患者さんでは、かみ合っている奥歯の数が少ないことがわかりました。今回の結果は驚きでしたが、早期に専門家の介入があったことが原因であり、当然の結果であると思います」と述べています。これにより、今後の研究や治療の方向性を再考する必要性が強調されています。

研究文章の公開



この研究は、「Association Between Change in Prognostic Nutritional Index During Neoadjuvant Therapy and Dental Occlusal Support in Patients with Esophageal Cancer Under Neoadjuvant Therapy」というタイトルで、Nutrientsに掲載されています。【研究リンク】(https://doi.org/10.3390/nu16244383)

岡山大学は今後も、医科歯科連携を通じて、患者の健康を支える様々な取り組みを進めていく計画です。たとえば、ハンズオンの医療教育プログラムや、地域社会との協力を深化させるための施策が期待されています。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

会社情報

会社名
国立大学法人岡山大学
住所
岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス本部棟
電話番号
086-252-1111

トピックス(科学)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。