歌の力を育む「いのち会議」が目指す地域の拠点とは
2025年に開催される大阪・関西万博に向けて、いのち会議は「いのち宣言」と「アクションプラン集」を発表しました。特に注目すべきは、歌を通じた新しいアクションの試みです。歌の力を信じ、地域において子どもたちが定期的に歌を体験できる拠点を作ることを目指しています。この取り組みは、ただの音楽活動にとどまらず、子どもたちが生きる力を身につけるための大きな支柱となり得ます。
音楽が持つ力
音楽は、個々の成長を促進するための重要な要素です。その中でも特に「歌」は、多くの文化や歴史、想いや祈りを表現する手段として機能しています。また、声を発して呼吸することで健康を保つ役割も果たします。現在、全国にはまだ多くの歌好きな子どもたちが存在していますが、かつてのような大規模な児童合唱団は次第に姿を消しています。
過去の合唱団の衰退
数十年前には、各地に児童合唱団が活発に存在し、多くの子どもが参加していました。しかしながら、少子化や受験が厳しくなった影響などにより、児童合唱団は減少の一途をたどっています。さらに、2020年の新型コロナ感染症の影響で、多くの団体が活動を休止しました。その中で、わずか数名で活動を続ける団体が増え、地域文化の衰退に繋がっています。
出発点としてのArt MICE
この厳しい現状を受けて、一般社団法人Art MICEは「歌の力」の重要性を訴えています。小さな市町村でも、子どもたちが定期的に歌を体験できる拠点の創造を目的とし、その確保が大きな課題となっています。音楽の専門教育を受けた人材は多いものの、彼らの多くが音楽を職業としていない現状があるのです。これは、音楽教育の重要性が社会的に認知されていないからではないでしょうか?
西洋では、芸術が人々の生活を豊かにするものとして重視されており、地域の音楽学校が進学の場としても重要な役割を果たしています。音楽を通じて様々な能力を育むことができることが実証されています。
歌の療育の可能性
イギリスでは、医療現場において「音楽療法」が導入されています。音楽を通じて癒しや健康を促進する取り組みが、患者にとって有効であることが広く認められています。このような観点から、日本においても「歌の療育」に取り組む必要性が高まっています。
未来のビジョン
Art MICEは、2024年度に予定されている福祉教育の法改正を受けて、子どもたちの発達支援に関わる新たなプログラムを模索しています。「5つの領域」と言われる健康、運動、認知、言語、社会性の向上を目指し、「歌の療育」がその一助となることを期待しています。音楽が持つ力を社会全体で認識し、こどもたちの成長を後押しする未来を築いていきたいと考えています。
歌がもたらす変化は、たくさんのこどもたちの人生を豊かにし、彼らの未来の可能性を広げると信じています。いのち会議は、Art MICEや他の多くの文化団体と共に、歌を通じてこの世界に幸せをもたらす活動を続けていきます。