Terna社とhibotによるロボットソリューションの取り組み
近年、ロボット技術がさまざまな分野で応用される中、特に注目が集まっているのがインフラメンテナンスにおける活用です。イタリアの送電網管理者である
Terna S.p.Aと、日本のロボット開発企業、
株式会社ハイボット(hibot)が共同で行ったプロジェクトが、まさにその最前線を走っています。この連携により、架空送電線のメンテナンスが簡素化され、人手による作業の安全性が大幅に向上することが期待されています。
プロジェクトの概要
Terna社はイタリア国内での送電網の管理と維持に責任を持つ企業で、CEOのジュゼッピーナ・ディ・フォッジャ氏が率いるチームが、これまで培ってきたインフラ管理のノウハウを基に、hibotとの連携を図っています。今回の共同プロジェクトにおいて、hibotはTernaと共に、架空送電線の導体やガードワイヤを移動しながら作業できるロボットのプロトタイプを開発しました。このロボットは、実際に送電中の電線においてもメンテナンス作業を安全に行える能力を持っています。
実際のテスト
10月末、イタリアのトリノにあるロンディッソーネ変電所で、hibotおよびTernaのチームはロボットの動作テストを実施しました。このテストでは、ロボットが送電線にプレフォームスティックを取り付ける実証実験を行い、ガードワイヤに警告球(空中マーカーボール)を取り付けることにも成功しました。これにより、送電線の補修や点検作業においても、作業員の危険を軽減できる可能性があると期待されています。
Ternaの革新への取り組み
Terna社のイノベーション部門責任者、カルラ・ナポリターノ氏は、このロボットソリューションが自社のスタッフを支援し、安全性を確保する上で重要な役割を果たすと述べています。また、このプロジェクトは継続的な進化と革新を目指すものであり、インフラ性能の向上が全国の電力網にとっての大きな利点につながると強調しています。
今後の展望
現在、Ternaは約70件の革新プロジェクトを進めており、技術革新を専門とする関連会社「
Terna Forward」を通じて、5000万ユーロの予算をもとに活動しています。2024年の半ばまでに、スタートアップや革新的な中小企業への直接投資を行う計画も動いています。今回のロボットの取り組みもその一環として位置づけられ、2025年までにプロトタイプの完成と普及を進めていく予定です。
このように、イタリアの送電網維持にロボット技術を導入する動きは、将来的なインフラ管理の形を変える可能性を秘めており、今後の展開にも注目です。