マニラ市庁舎訪問の背景
2025年11月6日、バンクオブアートの代表団がフィリピン・マニラ市庁舎を訪れ、アートを活用したプラスチックごみ問題の解決に向けた共同プロジェクトの提案を行いました。日本を代表するアート企業が、アートと社会課題解決を結びつける新たな試みとして注目を集めています。
訪問には、バンクオブアートの代表取締役会長、水野永吉氏と、アーティストのCHOB-ONE氏が参加。フィリピン側からは市政管理官のエドゥアルド・キントス14世氏らが出席し、双方の関心からこの重要なプロジェクトがスタートしました。
プロジェクトの目的
昨今、東南アジア地域では急速な経済成長とともに深刻な廃棄物問題が浮上しています。フィリピンでは特にプラスチックごみが増加の一途を辿っており、適切な処理が求められています。バンクオブアートは「社会課題の解決 × アートの力」をスローガンに掲げ、アートの手法を通じてこの問題に取り組むことを決意しました。
具体的な取り組みとして、同社は廃プラスチックをリサイクルし、絵の具や額縁、キャンバスといったアートの三大要素へと再生する「アップサイクル」の方法を提案しました。この方法によって、リサイクルの新たな価値を創出し、環境保護に寄与することが期待されています。
リサイクルの現状と課題
実際、フィリピンでは高性能な焼却施設の数が限られており、大量のプラスチックごみがリサイクルや埋立処理に依存せざるを得ない状況です。また、選別やクリーニングにかかるコストが高いため、リサイクルが新しい資材の製造よりも高くつくことが多いのが現実です。このため、日本国内でも、ペットボトルのリサイクルにだけでも相当な金額が投じられています。
先進事例としてのバンクオブアート
バンクオブアートは、30名の公認画家を有し、すでに151社に1,314点の原画を提供してきました。アート作品の販売価格は30万円から200万円の間で幅広く設定されており、若手アーティストの支援と、企業の社会的価値の向上を両立させるシステムを構築してきました。
今回のプロジェクトでは、売上の20%がフィリピン国内の衛生環境改善およびスラム街支援基金に寄付されることも決定しています。このようにして、アートが社会に還元される仕組みをつくり上げようとしています。
未来への展望
バンクオブアートは、今回のマニラ市との共同プロジェクトを礎に、東南アジアの他の国々へも同様のアートとリサイクルを融合した取り組みを拡大していく予定です。
スモーキータウン視察
訪問の締めくくりとして、バンクオブアートの代表団は、漫画『ONE PIECE』のモデル地として知られるスモーキータウンを視察しました。この地域は経済成長による廃棄物問題の象徴的な場所であり、実際に目にすることでさらなる意識の形成に繋がることを期待されています。
アートは人々の心を動かし、課題の解決に寄与する力を持っています。バンクオブアートの挑戦が、持続可能な社会の実現へとつながることを期待したいところです。