別府市で実施されたオンライン介護予防教室
令和6年7月23日、日本健康寿命延伸協会と別府市の共同事業が注目されています。大分県の別府市では、地域高齢者を対象に「脳と身体が元気になる教室」と題した介護予防事業を実施。これは、認知症やフレイルの予防を目的にしたもので、オンライン形式で行われました。
実施の背景と概要
近年、コロナウイルスの影響で高齢者の社会的孤立が懸念され、身体を動かす機会が減少していることが報告されています。この情勢下で、一般社団法人日本健康寿命延伸協会はタブレット端末を高齢者に貸与し、自宅で簡単に参加できるオンライン体操教室を提供してきました。
そして、この度、別府市内の会場に集まって行う集合型のオンライン体操教室を開催。これは東京都板橋区からリアルタイムで運動指導を受ける形で実施され、参加者たちは直接指導を受けながら体を動かすことができました。この教室は、令和5年の6月から翌年2月まで開催され、参加者の身体機能や認知機能の評価が行われました。
教室の成果とデータ解析
本教室には、41名の参加者(平均年齢79.1歳)が参加しました。教室参加前後でさまざまな評価が行われ、握力、認知機能、抑うつ、基本チェックリストの得点、舌口唇運動機能が向上したことが確認されました。特に、握力と認知機能に関する改善が顕著で、多くの参加者が自己の健康状態に好影響をもたらしたと実感しています。
また、教室から離脱した6名の参加者について分析を行ったところ、彼らは抑うつや社会的孤立が強く、生活機能の低下が懸念される高齢者が多いことが分かりました。さらに、参加回数が少ないメンバーは身体や認知機能の低下が見られるという特徴も明らかになりました。
事業の意義と今後の展望
このオンライン介護予防教室は、参加者の身体的および認知的な機能を改善する可能性を示しました。運動指導が遠隔地からでも有効であること、また個々の成果がわかるようデータが可視化されることは、今後の介護予防事業に大きな影響を及ぼすでしょう。
特に、参加者個人に対する効果を把握できるだけでなく、行政にとっても事業の効果や課題を把握する手助けとなります。データの可視化により、今後さらに効果的かつ効率的な介護予防の施策が実施されていくことが期待されています。包括的なアプローチで高齢者の健康を守り、社会全体の健康寿命延伸につなげることが重要です。