大阪・関西万博での新しい試み「SENSPHERE」
2025年、待ち望まれる大阪・関西万博において、視覚に依存しない体験が可能な展示「SENSPHERE 知覚の境界をほどく旅」が登場します。これは、株式会社GATARIによって企画されたもので、Mixed Reality(MR)プラットフォーム「Auris」を活用しています。
豊かな感覚の探求
「SENSPHERE」は、視覚障がい者を含むすべての人々が参加できるインクルーシブな体験を提供することを目指しています。展示では、暗い洞窟のような空間を進む中で、視覚情報を遮断し、聴覚や触覚に焦点を当てて体験を進めることになります。体験者は目を覆い、触覚と聴覚を頼りに自らの感覚を探求していきます。
MRプラットフォーム「Auris」とは
「Auris」は、特別なデバイスを必要とせず、スマートフォンとイヤホンだけで体験を可能にするMRプラットフォームです。ユーザーの動きをセンチメートル単位で認識し、その位置に応じてインタラクティブな体験を提供します。展示中は、オーディオデバイスから送られる音に従って進むことで、空間の新たな側面に触れることができます。
この技術により、体験者は周囲の音の質感や方向を明確に感じ取りつつ、視覚情報から逃れた新しい認識の旅に出ます。これまでにない音響体験を通じて、自身の感覚の幅広さを発見することができるのです。
GATARIの理念と取り組み
GATARIは、これまでに視覚障がい者の生活の質を向上させるため、さまざまな取り組みを行ってきました。このプロジェクトの背後には、「人間がどのように周囲を認識し、どのようにその感じ方を変えていくか」という理念があります。「SENSPHERE」では、視覚障がいの有無にかかわらず、全ての人々が互いに感じ方を理解し合う場を提供します。
共催として、情報科学部マルチメディア應用研究室、学生たちが「Auris」を活用した体験イベントも行われます。こうした動きは、視覚情報を遮断された環境での新たな体験を楽しめる貴重な機会となるでしょう。
大阪・関西万博の開催情報
「SENSPHERE 知覚の境界をほどく旅」は、2025年4月19日から4月24日まで、大阪・関西万博のギャラリーWESTで行われます。最終日の営業時間は15:00までとなります。メディア催事「点字考案200年 視覚障害者の世界を体験する」の一環として開催され、視覚障がい者と晴眼者の交流を促進することが期待されています。
今後の展望
今後、GATARIはMixed Reality技術をさらに活用し、様々な企業や団体と連携しながら、視覚障がい者の情報保障やアクセシビリティの向上に努めていく予定です。技術を通じて新たな体験を提供し、社会全体のインクルーシビティを推進することが、彼らの主要な目標です。
これからのインクルーシブな社会に向けて、「SENSPHERE」は第一歩を踏み出します。来る大阪・関西万博での体験を通じて、全ての人が感覚を活かした豊かな体験を得られることを期待しています。