高齢者が自分らしく生きる力を測る世界基準の必要性

近年、世界中で高齢化が進行する中、高齢者が自分自身の価値観に基づいた生活を維持するための支援が求められています。この流れの中で、世界保健機関（WHO）が提唱する「ヘルシーエイジング」概念が注目を集めており、特にその中核を成す「機能的能力」に関する測定基準の標準化が急務とされています。

ヘルシーエイジングとは？

ヘルシーエイジングは、WHOによって2002年に策定された政策フレームワークの延長線上にある新たなコンセプトです。この考え方は、高齢者が肉体的、精神的に健康な状態を維持し、さらに社会的なつながりや自立した意思決定能力を含む、自分らしく生きるプロセスを保障することです。その背景には、2335年までに高齢者が世界の人口の4分の1を占めるという予測があり、その現実を踏まえた政策的支援が求められています。

機能的能力の定義と重要性

機能的能力は、「自分が価値を感じる活動を実行するための能力」として定義されています。この能力には、基本的ニーズを満たす力、学びや成長に必要な能力、移動する力、人間関係を築く力、そして社会に貢献する力が含まれています。これらの要素は、単に肉体的な健康状態を超え、人生の質を高めるために不可欠です。このため、機能的能力を正しく測定することで、高齢者の生活の質を向上させる政策の立案が可能となるのです。

世界的な標準の必要性

現在、各国で機能的能力の定義や測定方法は異なっており、国際的な比較や政策評価を難しくしています。このような状況を改善するために、大阪医科薬科大学と京都大学の研究チームが立ち上がりました。彼らは、「機能的能力をどのように測定するか？」という問いを立て、国際的な測定枠組みを統一する必要性を提唱しています。この議論は、高齢者の価値観を反映させるための個別化評価の可能性を示唆しています。