日立、ドイツのAI企業synvertの買収でグローバル事業拡大を加速
株式会社日立製作所が、ドイツに拠点を置くデータとAI分野の企業、synvertの買収に合意しました。この合意は日立が掲げる環境、幸福、経済成長の調和を目指すハーモナイズドソサエティの実現を加速させるものです。日立は、AIを活用した新しいビジネスモデルの構築や運用の自律化を進め、HMAXというソリューション群を強化することを目指しています。
synvertとは
synvertは、企業におけるデータ戦略の立案から分析基盤の構築まで手がけるコンサルティング企業であり、特にAIの導入とその運用において高度な専門性を有することで知られています。これまでに200社以上のクライアントに対しデータドリブンな変革を支援しており、主要なクラウドデータプラットフォーム企業との強力なパートナーシップを築いています。これにより、日立はsynvertを引き入れることで、より強力なデータバリューチェーンを構築できることとなります。
日立のAI戦略
日立は、デジタルシステム&サービスセクターを中心にAI戦略を展開しています。生成AIをはじめとしたAgentic AIやPhysical AIへのシフトを進めており、これによって企業が抱える課題を解決するための新しい手法を提供しています。また、これまで1,000件を超えるAIのユースケースを創出し、日立のAIセンターを通じたさまざまな業務での運用実績を積み重ねてきました。
synvertの買収がもたらす価値
synvertの買収によって、日立の顧客はより迅速にAIを導入し、その価値を引き出すことが可能になります。特に、プラットフォームを中心とした設計や高度に標準化されたMLOpsの運用が容易になるため、AIの導入から価値創出までの時間が短縮されることが期待されています。また、この買収により、日立の提供するシステムの強靭性が高まり、総コストの削減にも貢献するでしょう。
幅広いデータ活用の展開
synvertには、550名以上のデータガバナンスおよびプラットフォーム設計の専門家が在籍しており、データをリアルタイムに管理し活用するためのスキルを持っています。彼らの専門知識を活用することで、日立はAI技術の先進的な導入を進めることができます。また、GloablLogicのVelocityAIプラットフォームとの統合により、日立はデータ活用の全工程にわたる価値を創出する体制を整えることが可能になります。
経営陣のコメント
日立製作所の副社長である阿部淳氏は、「synvertの参加により、日立グループ全体の競争力強化に寄与し、さらなるイノベーションを推進する」と述べています。また、GlobalLogicのCEOであるSrini Shankar氏も、synvertを統合することでデータ&コンサルティング能力が強化され、特に欧州・中東市場への進出が期待できると語っています。
最後に
この買収により、日立は環境・社会への貢献を果たしつつ、グローバル市場でのプレゼンスを更に強化すると考えています。AI技術の進化により、日立はさまざまな業界の課題に立ち向かい、より持続可能な未来を築くための取り組みを進めていくことでしょう。本買収は2025年度末までに規制当局の承認を受けてクロージングされる予定です。