明治乳酸菌が腸内細菌叢に及ぼす影響
最近、第78回日本栄養・食糧学会大会で発表された研究によると、明治が保有する乳酸菌「Lactobacillus paragasseri OLL2716株」を含むヨーグルトの継続摂取が、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やアスピリンを服用している人々の腸内細菌叢の変化を緩和する可能性があることが明らかになりました。これは、日本人に多い胃の不調や、心疾患、脳卒中の予防において重要な知見といえます。
研究の背景と目的
アスピリンは解熱鎮痛作用があり、多くの人々に使用されていますが、これに伴い小腸粘膜傷害を引き起こすこともあります。このため、PPIが併用されることが多いですが、PPIは腸内細菌叢に悪影響を及ぼすことが知られています。今回の研究は、Lactobacillus paragasseri OLL2716株が腸内フローラに与える影響を評価することを目的としており、その結果が期待されています。
研究方法
この研究は、PPI服用者(PPI群)、PPIとアスピリン服用者(アスピリン群)、両剤を服用していない対照群から成り立っており、各群に対し、OLL2716株を含むヨーグルトを6週間にわたり摂取してもらいました。摂取前後で糞便サンプルを採取し、腸内細菌叢の解析を行いました。
主要な研究結果
研究結果として、PPIやアスピリンを服用するグループの腸内細菌叢は、非服用者のそれと有意に異なることが示されました。しかし、OLL2716株を含むヨーグルトを摂取した後、PPI群とアスピリン群の腸内細菌叢には有意な差がなくなり、PPIやPPIとアスピリンによる腸内細菌叢の変化が緩和された可能性があります。特に、PPI群においては、Enterobacteriaceae(腸内細菌科細菌)の相対存在量が有意に減少しました。この結果は、薬剤耐性や腸管感染症の懸念を軽減することに貢献するかもしれません。
研究の意義
本研究は、ものによっては腸内細菌叢に深刻な影響を与える薬剤が使用される現代において、OLL2716株を含むヨーグルトが腸内フローラを保護し、その望ましい状態を維持する助けになる可能性を示唆しています。これにより、さらなる健康保障へとつながるかが期待されます。
今後の展望
研究を通じて得られた結果をもとに、明治はより広くOLL2716株を含むヨーグルトを販売し、お客様の健康維持に寄与することを目指しています。今後も健康に関する有益な情報を発信し、「meijiらしい健康価値」を提供していく方針です。
このように、腸内細菌叢の変化を緩和するための新たなアプローチが模索されている中で、乳酸菌の役割はますます重要になっています。今後のさらなる研究と実用化に期待が寄せられます。