日本人の意識高いが実行力不足？社会課題解決の現状を探る

最近の調査によると、日本は社会課題解決に関わる賛同率が82%と他国を大きく上回る高さを見せています。しかし、その実施率は最下位である31%にとどまっており、賛同と行動のギャップが浮き彫りになっています。

この調査は、日本を含むロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ベルリン、ストックホルムといった主要都市に住む16歳以上の男女を対象に行われました。調査の結果、特に賛同率が高かった行動には、「災害用の備蓄」や「マイバッグの利用」、さらには「男性の育児休暇」があり、賛同率がそれぞれ91%、88%、83%となっています。しかし、実際に行動に移した人は、その賛同率から大きくかけ離れた数値にとどまることが多いのです。

たとえば、「男性の育児休暇」への賛同は83%ですが、実際に取った人の割合はわずか6%です。また、寄付に関しても同様の傾向が見られ、賛同者の75%のうち、実際に寄付したのは11%に過ぎません。これらの数字は、意識の高い日本人が実行に移すことが難しい理由を示唆しています。

特に注目すべきは、「お得さ」や「ラクさ」が行動を促進する上で重要な要素だという点です。調査結果から、社会的な貢献を行う際に、個人的なメリットが伴うことで初めて行動に結びつきやすいことがわかりました。これを意識すると、社会課題に関心はあるが行動に移せない層も、利己的な動機をきっかけに行動を始める可能性が高まります。

たとえば、リサイクル品の購入や詰め替え容器の使用は、日本では比較的高い行動率を示しており、環境への配慮が感じられます。特にSNSでの誹謗中傷を避けるという行動も、意識の高い選択を反映していると言えるでしょう。

海外の都市ではそれぞれ異なる特徴が現れており、ニューヨークではLGBTQの許容が高く、ロサンゼルスは災害用備蓄に強い関心を寄せています。パリではフェアトレード商品の購入が目立ち、ベルリンは環境問題に対する高い意識がうかがえます。これらの国々と比較することで、日本人の社会意識の特性がより明確になっています。

一方で、調査を経て見いだされた課題は、賛同と実行のギャップをどう埋めるかです。この問題を解決するためには光明となる道があるかもしれません。たとえば、自分にとっての明確なメリットを示すことで、行動を後押しすることができるかもしれません。また、利他的な行動が重要であることを理解しつつも、自らの利益を目的としたアプローチを取った方がフィジカルなアクションを促進する手助けに役立つ可能性もあります。

この調査を通じて、SDGsへの取り組みや社会課題解決を図る多くの企業は「正しいこと」を追求する一方で、なかなかその行動が広まらないジレンマを抱えています。企業や個人がどのようにして善意を行動に変えられるか、今後の日本社会における課題解決に向けた道筋がこの調査によって示されつつあります。