HARIOが挑む国内モノづくりの復活
HARIO株式会社は、1921年に設立された耐熱ガラスの製造メーカーで、長きにわたり理化学製品やコーヒー関連のアイテム、キッチン用品を提供し続けてきました。歴史ある会社として、東京の神田須田町に始まり、茨城県古河市に拠点を変えた今でも、日本国内の工場で製造を行う数少ない企業の一つです。
かつて日本には8社の耐熱ガラスメーカーが存在しましたが、現在も国内での生産を継続しているのはHARIOのみです。HARIOではマシンによる生産を行う一方で、手吹きガラスの技術を継承することにも力を入れています。高齢の職人たちと女性を含む若手チームが連携しながら、マシンでは実現できないサイズや形状の製品を手がけています。
再び注目される日本のモノづくり
最近、HARIOは国産モノづくりを見直し、「ジャンピングティーポット」の製造プロセスを再構築しています。このアイテムは1984年から続くロングセラーで、かつてはコスト削減のため、取っ手や注ぎ口を海外で加工する決断をしていました。しかし、最近の人件費の高騰や為替変動を受け、再度国内での職人による手加工を検討することになりました。
この挑戦には、技術の伝承という大切な意味が込められています。熟練の職人から若手職人に受け継がれる技術が、新たな製品に息を吹き込むことが期待されています。特に25歳から35歳の若手チームは、自らの手で製品を作り出すための技術を駆使し、日々作業に励んでいます。
若手職人の育成と意識
ジャンピングティーポットのボディ部分はマシンで成形されますが、その後に取っ手と注ぎ口の加工が若手職人によって行われます。ハンドブロー成形の技術を用い、図面に基づいて正確かつ美しい形状を実現することが求められています。このプロジェクトは、ただモノを作るだけでなく、職人たちの誇りや愛情が込められた作品を消費者に届けるためのものです。
HARIOはこれからも、Made in Japanにこだわりながら、品質の高い製品を提供していくことを確約しています。グローバルな市場で競争する中でも、日本独自の技術やデザインを生かし、人々に愛される製品を届けることがその目標です。
現在、HARIOの古河工場では、周囲の環境を考慮した「煙突のない工場」での耐熱ガラス製造が行われ、お客様のニーズに応えられる製品作りに励んでいます。若手職人たちが持つ熱意と技術は、今後のモノづくりの再生に繋がることでしょう。日本の物作りが再び注目される日も近いかもしれません。