留まることなく、食の未来を切り開く成田賢一氏の活動と受賞の意義

食と農をつなぐアワード2025受賞の意義

2023年、NPO法人ジャパンハーベストの代表である成田賢一氏が「食と農をつなぐアワード2025」の消費・安全局長賞を受賞しました。この受賞は、成田氏が個人として全国で唯一の受賞者として評価されたことからも、その活動の重要性が伺えます。受賞の理由は、移動スーパーやフードバンクという二つの事業を通じて地域の食品アクセスを確保し、食品ロスの削減及び地域福祉の推進に寄与した点です。

成田賢一氏の活動の背景

成田氏は2006年から岡山県吉備中央町で地域の飲食店の経営に関わり、地域とのつながりを深めてきました。2013年には高齢者の買い物支援を目的に移動スーパーを始め、多くの農家が高齢者であるという地域の特性を活かしたサービスを展開しました。彼は、地域内の食品供給の課題を解決するために、農家からの余剰品を受け入れる機会も増えていきました。

その後、成田氏は2018年に任意団体「フードシェアリングジャパン」を設立し、食品ロスの削減に向けた活動を本格化させます。2020年には海外のフードバンクを視察し、公共冷蔵庫の仕組みを日本に持ち込むことで、新たな食品支援モデルを構築しました。2021年に「特定非営利活動法人ジャパンハーベスト」として法人化し、活動の基盤を固めました。

国際的な連携と支援拡大

さらに、成田氏はオーストラリアのOzHarvestと連携協定を締結し、国際的なネットワークの構築を進めることで、日本におけるフードバンクの活動を広げています。2024年からは広島チームを設立し、香川県高松市での活動も開始。地域のニーズに応じた支援を強化していく方針を掲げています。

2025年には、岡山県内の倉敷国際ホテルからの食品提供を受けながら、倉敷市や玉野市での食料支援を強化し、さらに精神疾患を抱える家庭や子育て世帯への援助を拡充します。

大阪・関西万博での取り組み

2025年の大阪・関西万博では、8か国のパビリオンと協力して約4トンの食品ロスを回収し、岡山を中心に大阪や兵庫に食料を提供します。このプロジェクトを通じて、地域の子どもたちにも新しい食体験を提供し、食へのアクセスを広げる活動が期待されます。

受賞の意義と今後の展望

成田氏は受賞に際して、「この成功は私一人の力ではなく、多くの支援者やパートナーとの協力によって築かれたものです」とコメントしています。今後は、企業や自治体との連携を強化し、地方と都市を結ぶ持続可能な食の循環モデルを構築することを目指すと語っています。これにより、国内外への発信も強化されていく見込みです。