経済的困難を抱える家庭の夏休み実態調査
夏休みは子どもたちにとって特別な時期です。しかし、経済的困難を抱える家庭では、旅行や自然体験などの「特別な思い出」を作ることが難しい現状があります。その実態を把握するために、認定特定非営利活動法人カタリバ(東京都中野区)が行った調査結果から、夏休みに関する様々な課題が浮かび上がりました。
調査の概要と内容
カタリバの「アダチベース」「room-K」「キッカケプログラム」を利用する経済的困難を抱える保護者252名を対象にしたアンケート調査が実施されました。この調査によると、約80%の保護者が「夏休みは必要」と回答し、その理由として「普段できない体験をすることが大切」「学校以外での学び」が挙げられました。
夏休みの「機会」と課題
調査によると、保護者が考える夏休みの価値は、「学校ではできない体験」「思い出づくり」「心身のリフレッシュ」が重要視されています。しかし、実際に「経験させたい」と考える「旅行」や「合宿」「自然体験」については、約80%の保護者が「実現できない」と感じています。特に、「金銭的余裕がない」ことが主な理由として挙げられました。
具体的な意見としては、日々の生活費が精一杯で、余暇に費やすお金がないという声や、シングルマザーなどの状況で体力的および金銭的に難しいという意見が多く見受けられました。また、安全面や障害のある保護者の送迎の難しさも理由の一つとなっています。
「サマースクールin能登」の取り組み
このような背景を受け、カタリバでは子どもたちに「学びと体験のある夏」を届けるため、「サマースクールin能登」を実施します。このプログラムは、能登半島地震以降続いている支援活動の一環で、参加者が地域の方々との交流を通じて、貴重な体験を得られる内容となっています。
このサマースクールでは、能登の祭りや自然体験、地域の方から被災当時の経験を直接聞く時間など、特別なプログラムが用意されています。開催は2025年8月21日から24日までの4日間で、事前登録制で18世帯19人の家庭が支援対象となります。
支援の必要性と呼びかけ
今回の調査を通じて、多くの保護者が夏休みは子どもにとって大切な時間でありながら、金銭的な理由で十分に活用できない現状が浮き彫りになりました。カタリバは「どんな環境に生まれ育ったとしても、さまざまな機会やきっかけと出会えること」を目指しています。
そのため、カタリバのサマースクールの活動は全て寄付によって支えられています。今回、支援を必要とする家庭に夏の思い出と機会を届けるため、500人の寄付者の募集が行われています。子どもたちが必要な経験を得るためには、私たちの協力が欠かせません。
調査概要
調査は2025年6月10日から6月23日までの期間に実施され、オンラインで質問票を配布しました。有効回答数は252件で、多くの貴重な意見が集まりました。
カタリバの活動について
カタリバは2001年に設立され、未来を自らつくりだす意欲と創造性を育む社会を目指して多様な教育プログラムを展開しています。これからも、すべての子どもたちに平等な学びの機会を提供するための活動を継続していく所存です。