海の砂漠化を防ぐ新たな試み
地球温暖化による藻場(モバ)の減少が深刻化しています。特に海藻を食べる“食害魚”によって引き起こされる「磯焼け」は、日本の海域における重大な問題です。この磯焼けを防ぐため、旭タンカー株式会社が100%出資するうみのまちづくり株式会社が新しいプロジェクトを始めました。これは、商船三井興産が運営する社員レストラン「虎ノ門ライン」において、食害魚を美味しく食べて気候変動問題を解決しようというものです。
プロジェクトの概要
2024年10月17日から11月22日までの期間、うみのまちづくり株式会社は「ブローカーボン・デイ」として、食害魚であるクロダイをトライアル提供します。この取り組みは、藻場作りに貢献する漁業関係者や企業と連携し、食害魚を消費することで海の生態系を守ることを目的としています。こうして、海藻類を守り、CO2削減に寄与する取り組みが行われます。
海藻と海の重要性
「ブルーカーボン」とは、海洋生態系が吸収した炭素のことを指します。実は、地球上で吸収される炭素のうち55%が海から来ており、沿岸部の海草藻類などが重要な役割を果たしています。これを活用して企業の炭素排出量をオフセットする新たな仕組み「ブルーカーボン・クレジット」も注目を集めています。企業が信頼性の高い方法でCO2削減に取り組むための大きな一歩と言えるでしょう。
食害魚への意識を高める
「磯焼け」は、日本の海藻の半減を引き起こす原因となっています。温暖化や植食魚の食害、沿岸環境の悪化などが影響し、最も容易に対策できるのが食害魚への取り組みです。うみのまちづくり株式会社では、クロダイやアイゴを捕獲し商品化するため、瀬戸内海を中心に漁業関係者と協力しています。
食材の提供は山口県の漁業協同組合から行われ、そのクロダイは身が引き締まっており、脂の乗りも良好です。特に秋から春にかけては、その旨味が濃厚になります。また、この取り組みは都市部の企業にも広がり、企業からの海の実情への理解を促進し、ブルーカーボンへの参加を促す狙いがあります。
今後のスケジュール
トライアルとしてクロダイを使ったランチメニューは以下の通り、合計4回提供されます。これまでの実績を踏まえ、今後も多くの企業や漁協と連携を強化していく予定です。
- - 10月17日:具沢山クロダイのアラ汁(完売)
- - 10月24日:クロダイ唐揚げユーリンチーソースかけ
- - 11月8日:クロダイ香草パン粉焼き
- - 11月22日:クロダイソテーキノコクリームソース
今後も、参加企業や協力漁協との連携を強化することで、持続可能な未来の実現を目指します。私たち一人ひとりの行動が、豊かな海を守るために繋がっていることを意識し、美味しい食材を楽しむことの重要性を再認識しましょう。
お問い合わせ
この取り組みに関しての質問や取材希望は、うみのまちづくり株式会社までご連絡ください。海の問題に対する意識を高め、ブルーカーボン事業に参加するチャンスです。さあ、一緒に海の未来を考えましょう!