渋谷区におけるデジタルコンタクトセンターの構築
東京都渋谷区は、パーソルビジネスプロセスデザインの支援を受けてデジタルコンタクトセンターの構築を進めています。この取り組みは、渋谷区が掲げる「デジタルシフト」の一環として、区民サービスの向上を目指しています。
1. デジタルシフトの必要性
労働人口の減少が進む中、各自治体では限られたリソースを有効に活用しながら、サービスの質を保ちながら業務の効率化が求められています。特に、電話や窓口での問い合わせ対応は職員にとって大きな負担であり、早急な対応が必要とされています。そこで、パーソルビジネスプロセスデザインが提案したのが、デジタルコンタクトセンターの運営です。このセンターは、住民対応を効率化させ、同時に職員が本来担うべき業務に専念できる環境を整えようとしています。
2. 構築のプロセス
デジタルコンタクトセンターの構築は2024年1月から段階的に導入されました。初期フェーズでは、以下のような取り組みが行われました。
- - IVR(自動音声応答装置)の導入:電話応対の効率化を図るシステム。
- - SMS送信サービスの導入:区民がデジタルコンテンツにアクセスしやすくする仕組み。
- - 取り次ぎサポートシステムの導入:通話内容をテキスト化し、業務を効率化。
- - KCS(ナレッジ中心サービス)の導入:ナレッジの整備による応答の質向上。
これらの取り組みにより、問い合わせの適切な振り分けが可能になり、各所管課との連携が進んだことで、問い合わせに対する情報の蓄積が進みました。
3. 実績と効果
これまでの成果として、運用開始から毎月応答率は80%を達成しており、区民満足度も5点中4.8点を記録しています。また、一次解決率は17%から35%に改善しています。これにより、各所管課の業務負担も軽減され、職員は本来の業務により多くの時間を費やせるようになっています。
4. 今後の展望
今後は、コンタクトセンターへの直接の問い合わせを拡大し、職員の業務をさらに効率化させる計画です。具体的には、データ整備に注力し、問い合わせ情報を一元化することを目指します。加えて、蓄積したデータを基に、自立型ボイスAIエージェントの導入を検討しています。これにより、渋谷区への全問い合わせの80%をデジタルシフトすることを目指しています。
5. パートナーの声
パーソルビジネスプロセスデザインの川越氏は、「KCSの考え方に基づくナレッジ整備や各所管課との連携により、区民満足度の向上に取り組み、業務の効率化を支援できている」と述べています。一方、渋谷区の岡田氏も「デジタルコンタクトセンターを通じて、区民がより早くお困りごとを解決できるよう努めており、その結果として職員が創造的な業務に専念できる時間が増えてきている」とコメントしています。
このように、パーソルビジネスプロセスデザインと渋谷区の連携は、区民サービスの質を向上させるだけでなく、職員の業務負担を軽減することにも貢献しています。今後の展開にも期待します。