穏やかな海域に最適な電気運搬船「Power Barge」
株式会社海上パワーグリッド、電気運搬船の新モデル『Power Barge』のコンセプトを発表しました。この新しいバージ船は、短距離の海上送電に特化しており、特に穏やかな海域での効率的な運用を目指しています。
「Power Barge」の特徴
「Power Barge」は全長約81メートル、載貨重量が約6,000トンという大型船で、推進機関を必要とせず、大量の電力を運びます。主に、太陽光発電などで生成された余剰電力を、都市部などの電力需要が高い地域に送電する役割を担います。
この船には、パワーエックス社製の20フィートコンテナ型のリン酸鉄リチウムイオン蓄電池が96個搭載されており、合計で最大240メガワット時の電力を貯蔵可能です。この量は、おおよそ24,000世帯が1日で消費する電力に相当します。
「Power Barge」のデザインは、筏形状をしており、特に月平均で有義波高が1メートル以下の穏やかな海域での運用に適しています。このため、コストを抑えて効率的に運用することができるよう設計されています。通常の速力は5から8ノットで、特定の運航エリアを想定しています。
日本の電力市場における役割
「Power Barge」とその兄弟船「Power Ark」は、日本の電力市場における脱炭素化に向けた取り組みの一環です。再生可能エネルギーの拡大を図る中、地元で発生した電力を効率的に輸送し、エネルギー供給の安定性を高めるための重要な手段となります。特に九州や中国地方では、これから再生可能エネルギー由来の電力の過剰供給が増える見込みがあり、こちらのソリューションが有効とされています。
日本では火力発電所の廃止や、2030年までに再生可能エネルギーの使用割合を30%以上に引き上げる計画が進行中です。このような背景の中、大規模な電力系統の整備には時間と資金がかかるため、海上送電ソリューションが注目を集めています。
未来の展望
海上パワーグリッドは、電気運搬船「Power Ark」の初号船「X」の建造を進めており、今年夏に詳細な仕様書を完成させる予定です。そして2025年中に建造を開始し、2026年内には竣工を目指しています。これにより、日本の電力インフラの改善にも寄与することが期待されています。
会社情報
- - 会社名:株式会社海上パワーグリッド
- - 設立:2024年2月9日
- - 所在地:東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウンタワー43階
- - 主な事業内容:電気運搬船の開発・販売、海上電力輸送、船舶用蓄電池の販売
これからの電力輸送の新しいスタイルとして「Power Barge」がどのように貢献していくのか、注目が集まります。