防災セットへの備えが進まない理由とは?
東日本大震災から10年が経過し、私たちは今、一層防災に対する意識を高める必要性を感じています。しかし、最新の調査結果によると防災セット(非常用持ち出し袋)の準備が進んでいない現状が浮き彫りになりました。この調査は、株式会社アントロットが実施したもので、関東と東北地域の住民を対象に行われました。
調査の背景と目的
調査は2020年5月から9月の期間に行われ、合計2306人から回答を得ました。調査の目的は、防災チェアの開発に先立ち、この事業が社会にとってどのような意味を持つのかを検討することでした。特に震災を経験した地域における防災意識を理解し、未来の災害に備えるための重要なデータを収集することが狙いです。調査対象者の中には10代から80代までの男女が含まれ、多様な視点から意見を聞くことができました。
調査結果の概要
結果として、意外にも防災セットの所持率は低く、多くの人が「めったに起こらない」と考えていることが原因の一つとされています。特に、東北地方の住民は震災の経験から防災意識が高まり、セットの準備が必要だと感じているにも関わらず、実際には所持していない人が多いことが分かりました。調査結果では、東北在住者の多くが「もっと防災用品の準備をしておくべきだった」と感じている一方で、所持しない理由として以下の意見が挙がっています。
- - 「震災時でも防災セットは持っていたが、押入れの奥にあり、避難所まで持って行けなかった」
- - 「市販の防災セットの中身が、震災時に必要だったものと異なっていた」
必要とされる日用品の実態
避難所では入手しづらい日用品として、充電器や洗顔料、コンタクトレンズ用の洗浄液、髭剃り、メイク落とし、そしてスキンケア用品などが挙げられています。これらの日常生活に欠かせないアイテムが不足することで、避難生活がさらに困難になることが示されています。
新しい備えの提案:防災チェア
アントロットは、こうした現状を踏まえ、防災チェアの開発を進めています。この防災チェアは、普段は日用品を収納できる椅子として利用でき、災害時には背負って避難可能な仕様です。実際に取材を通して、震災時における避難の厳しさを経験した声から生まれたアイデアであり、避難所での生活を少しでも快適にすることに寄与することが期待されています。この製品が普及することで、利用者が避難時の準備をより具体的に考えるきっかけになればと願っています。
今後の取り組みと展望
今後は東北地方の復興住宅への防災チェアの寄贈を計画しており、より多くの人々が防災に対する意識を高められるよう努めていく方針です。また、その他の企業と連携し、見落とされている防災の課題に取り組むことで、地域全体の防災能力の向上を目指しています。
まとめ
今回の調査結果は、防災セットの準備状況や、過去の震災からの教訓を考える上で非常に重要なものです。私たちは将来の災害に備えるために、今一度、日常生活の中に防災意識を組み込んでいく必要があります。そして、防災チェアのような新しい提案が、次の震災に備える一助となることを期待します。