木の家設計グランプリ2017 はじまる
2017年9月23日、京都造形芸術大学ギャルリオーブにて、木造住宅設計コンテスト「木の家設計グランプリ2017」が開催されました。2014年から始まったこのコンテストは、現在までに第4回を迎え、年々参加者数が増加してきました。今年は341組がエントリーし、その内141組が参加。会場は約400名の観覧者で賑わい、早朝から準備を進める学生たちの熱気に包まれました。
熱き戦いの舞台変更
今年のコンテストでは、「働く家を考える」というテーマが設定されました。その審査委員長を務めたのは、小さな家づくりに定評のある伊礼智氏。彼は講演の中で、「人口減少が進む日本の中で、家づくりの方向性が変化している」と指摘し、学生たちに未来の住環境の在り方を考えて欲しいと訴えました。このテーマは、社会の変化に即して、多様な家族形態や空き家問題への理解を促すためのものでした。
審査員との熱い対話
審査員には、竹原義二、松岡拓公雄、横内敏人、堀部安嗣といった著名な建築家たちが名を連ね、学生たちは憧れの存在である彼らに自らの作品を見てもらえることを楽しみにしていました。プレゼンテーションでは、質疑応答が活発に行われ、学生たちにとっても貴重な経験となりました。中には、緊張で倒れてしまう学生もいるほど、コンテストは白熱していました。
緊張と興奮の瞬間
今回のコンテストでは、学生たちが自分の作品の前で待機し、一時間以上にわたって審査員との対話を通じて自らのデザインと計画を説明しました。これにより10作品が上位として選ばれ、最終的なプレゼンテーションが一般公開で行われました。ここでのやりとりは毎年の見どころであり、作品への思いを熱く語る学生も多く、時には強い主張をぶつける姿も見られました。
受賞者とその声
今年の最優秀賞には、広島工業大学の中村凌さん、林健吾さん、都田あゆみさんのグループが選ばれました。彼らは「まさか選ばれるとは思っていなかった」と喜びの声を上げ、自らの努力が認められたことに感謝の意を示しました。
木造住宅教育の現状
国土交通省の発表によると、2014年の新設住宅で54.9%が木造住宅ですが、日本国内の大学や専門学校で木造に特化した教育が還元されているのは極めて少ないと言われています。審査員たちも、独学で木造について学びながら自身の経験をもとに学生たちに指导しています。これにより、未来の建築業界で苦難を伴わずに成功できる人材の育成が課題であると考えています。
地域と木の家づくりの繋がり
このコンテストを主催するのは滋賀県の谷口工務店であり、代表の谷口弘和氏は、優れた地域工務店こそが質の高い住宅を生み出す鍵であると信じています。国産材の価格低下により林業の担い手が減り、地域の森林が衰退する中で、学生たちが木の家の重要性を認識し、技術者として成長できる場を提供することがこれからの日本にとって重要であると述べています。
期待される未来
2018年9月にも次回のコンテストが予定されており、審査委員長は荻野寿也氏が務めます。日本の建築教育において、学生たちが伝統や技術を学び、より良い社会を構築するために、今後もこのコンテストは注目され続けるでしょう。学生たちの新しい挑戦が活気をもたらす事を期待したいです。
受賞作品一覧
- - 最優秀賞: 「ずれが織りなす再起の住まい」広島工業大学
- - 優秀賞: 「家族と地域と環境を結び付ける住宅」鹿児島工学院
- - 準優秀賞: 「小屋裏と大屋根の家」京都工芸繊維大学院
このように、木の家設計グランプリは日本の若き建築家たちが未来の住まいを考えるための大切なステージであり、地域の未来に貢献する場所とも言えるでしょう。