レーザフュージョン発電への新たな一歩
浜松ホトニクス株式会社は、レーザフュージョンエネルギー(IFE)の商業化を促進するため、米国のローレンス・リバモア国立研究所が設立した「半導体レーザ技術ワーキンググループ」にアジアから唯一の機関として参画します。このワーキンググループは、レーザフュージョン技術を高めるため、世界的な機関が協力し、半導体レーザの技術要件と実現可能性を評価することを目的としています。
「The STARFIRE Hub」とは?
この新たなワーキンググループは、米国エネルギー省が支援する「The STARFIRE Hub」の一部です。このハブは、慣性核融合エネルギーを加速するための4年間で1,600万ドルの資金が投じられ、さまざまな研究機関と企業が一丸となって取り組んでいます。具体的には、米国、ドイツ、フランスなど、世界中から結集したトップレベルの機関が名を連ねています。
目標と活動内容
本ワーキンググループでは、以下の活動を主な目的としています:
- - IFEに関連する半導体レーザの信頼性に関する共通定義の策定
- - IFE用途向け半導体レーザの信頼性試験における標準規格の制定
- - IFEレーザドライバの励起光源としての半導体レーザの仕様の最適化
これらの取り組みは、半導体レーザ業界の技術革新を促進し、商用化への道筋をつけることを目指しています。特に、信頼性試験の標準化は、全体の技術基盤を強化し、サプライチェーンの安定にも寄与します。
背景とレーザフュージョンの重要性
2022年12月、米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設は、レーザフュージョンにおいて重要な「点火」に成功し、核融合反応が実際にエネルギーを生み出す可能性を示しました。これによって、カーボンフリーで安全かつクリーンなエネルギー源としてのレーザフュージョン発電の実現が期待されています。しかし、商業的運転には毎秒10回以上のフュージョンが必要であるため、高出力半導体レーザの開発がカギになります。
将来への期待
浜松ホトニクスは、高出力半導体レーザ技術において世界でもトップレベルの開発を進めています。この新たなワーキンググループの参加を通じて、国際的な連携を強化し、早期のレーザフュージョン発電の実現に向けた一端を担うことを目指します。これらの活動によって、持続可能なエネルギーの実現に向けた道筋が一層明確になっていくことでしょう。