沖縄・石垣島で進化するスポーツ教育
2025年12月16日、沖縄県石垣市と日本体育大学が手を組み、AIカメラを活用したハンドボールのオンライン指導がスタートしました。地理的制約がある離島の指導環境を改善し、スポーツの普及と振興を図ることを目的としたこの取り組みは、石垣市スポーツコミッションやNTT西日本が力を合わせて進めています。
取り組みの背景
石垣市は、スポーツDX(デジタルトランスフォーメーション)による「マチスポ」を実現しようとしています。この事業では、スポーツ施設にAIカメラを設置し、地域のスポーツ振興を目的としており、今回のハンドボール指導はその一環です。AIカメラの映像を利用して、東京にいる指導者が石垣島の中学校のハンドボール部にリアルタイムで指導を行うことが可能になりました。
実施概要
オンライン指導は、石垣市総合体育館のサブアリーナに設置されたAIカメラで撮影された映像を使用します。日本体育大学のハンドボール部からのフィードバックを受けて、参加した中学生選手たちは、実際の練習中にポジショニングや戦術的なアドバイスを受けることができました。参加者は、映像を通じて自分のプレーを確認することで、その場で改善点を明確にすることができました。
指導の様子と成果
遠隔からの指導では、大学の現役選手や監督から細かなアドバイスが行われました。中学生選手たちは自分の動きがリアルタイムで記録されていることに高い関心を示し、積極的に質問を重ね、熱心に取り組む姿が印象的でした。指導を受けた選手たちの中には、具体的なアドバイスによってモチベーションが向上し、日々の練習に生かしたいという意欲が高まった声も聞かれました。
例えば、一人の中学生選手は、「普段よりも具体的なアドバイスをもらえて良かった」と振り返ります。また、指導をした大学生も、「言語化することの難しさを痛感し、教えることで自身の成長につながると感じた」と話しました。このように、双方向のコミュニケーションが生まれ、地域のスポーツ指導は新たな形へと進化しています。
今後の展望
この取り組みは単なるイベントにとどまらず、継続的な地域貢献活動として展開される予定です。男子は毎月第2火曜日、女子は毎月第3火曜日に遠隔指導が続けられます。また、年に一度は日本体育大学のハンドボール部が石垣島に訪れ、オフラインでの交流も計画されています。
期待される効果としては、離島における指導力向上、競技力向上に加え、生徒の大学進学率の向上や地域の活性化が挙げられます。今後も、地元の指導者や子どもたちのために、さらなるサポートを提供し続けたいとのことです。地域と大学が手を組み、新たなスポーツ教育の形が切り開かれつつあるこの取り組みから、今後の進展がますます注目されます。