2023年8月28日、建設会社の鹿島は、首都直下地震を想定した広域連携BCP訓練を実施しました。これは東京都港区の本社及び首都圏に位置する4つの支店、さらに東北・北陸・中部の3支店が参加した大規模な演習です。ABC訓練では、地震による社会機能の麻痺が想定され、計画的な対応が求められました。
訓練の目的と背景
首都圏でのM7.3の地震発生を想定し、訓練は午前9時からスタートしました。この災害シナリオでは、停電や断水、公共交通機関の停止、主要道路の通行規制、通信回線の遮断が考慮され、鹿島はこれに備えた計画を進めてきました。特に、顧客企業への迅速な支援が重要視された今回の訓練は、社会全体の復旧力を高める試みの一環です。
訓練内容
訓練は主に以下の内容に焦点を当てました:
1.
広域本・支店連携訓練
地震が発生すると、広範囲にわたるインフラが崩壊する可能性があり、各支店が受援側と支援側に分かれて連携訓練を行いました。発災後直ちに通信障害が起こる想定の下、MCA無線などを使用した連絡体制が確立され、中部支店が臨時の災害対策本部として全面的に機能しました。
2.
ヘリコプターによる物資輸送訓練
鉄道や主要道路が寸断された場合に備え、ヘリコプターを用いた人員と物資の輸送訓練が行われました。東京ヘリポートから名古屋へ、さらには物資の集積を川越で行うルートが確立され、実際の輸送を通じて対応力を確認しました。
3.
安否確認訓練
約2万7千人を対象に、家族との連絡手段を確認する訓練が行われました。社員が安否を確認するために必要な行動を整理し、避難場所を確認。これにより、発災時の連絡体制が強化されました。
4.
建物安全性の把握
「q-NAVIGATOR」というシステムを導入し、地震による建物の危険度をいち早く評価する訓練も実施され、迅速な判断力の向上が図られました。
5.
工事現場の初動対応訓練
「震災時における現場対応指針」に基づき、工事現場での安全確保や初動行動が整理され、全国の現場での被災状況を把握するシステムも導入されました。
今後の取り組み
最後に、鹿島の天野社長が訓練の総括を行い、最新の技術・知見を取り入れながらBCPを継続的に更新していく重要性を強調しました。特に、災害発生時の最優先事項である家族の安否確認についても言及し、ルールの周知徹底の必要性を述べました。今後も鹿島は、実践的な訓練を繰り返し行い、事業継続力の強化へと繋げていく方針です。
このように、鹿島のBCP訓練は社内での意識を高めるだけでなく、社会全体の災害への備えを強化する重要な一歩となりました。