アドバンスコンポジット、新たな高熱伝導絶縁材料のサンプル出荷開始
静岡県富士市を拠点にするアドバンスコンポジット株式会社が、新たに開発した高熱伝導絶縁新材料のサンプル出荷を開始しました。この新材料は、業界が求める高い熱伝導性と絶縁性能を同時に実現したもので、特許も取得した優れた樹脂セラミック複合材料です。
電子機器は運転中に熱を発生するため、その放熱が重要な課題となります。これに伴い、従来はセラミック素材が熱伝導性を持つ絶縁素材として広く使用されてきました。しかし、セラミックは重く、製造コストや調達においても課題がありました。これに対し、樹脂素材は軽量でコストが低く、電子機器の製造において多く利用されています。特に、樹脂を基にした金属基盤が市場でシェアを獲得するなど、樹脂素材の需要は高まり続けています。
アドバンスコンポジットが新たに開発した複合材は、セラミック素材の優れた特性を生かしつつ、樹脂素材の経済性を兼ね備えているため、効率的な製造が可能です。具体的には、密度1.85g/㎥、比熱0.75〜0.80J/kg・K、熱伝導率18〜20W/m・Kというスペックを持ち、セラミックよりも低コストで、調達も容易に行えます。この新材料は、電子機器の高性能化と小型化が進む中、これまで以上に効率的な放熱を実現し、信頼性の向上へと貢献します。
この新材料によって、樹脂やセラミック素材の中間に位置する特性が生かされ、新たな選択肢が市場に加わります。特に、発熱が問題となる電子デバイスや半導体、ロボット、ゲーム機器など様々な領域で信頼性の高い絶縁基板市場への参入が期待されています。アドバンスコンポジットは、開発した「高熱伝導絶縁樹脂セラミックス複合材」の早期展開を計画しており、初期ターゲットとしてパワーモジュール市場に焦点を当てています。
さらに、2023年には約697億ドル規模に達すると予測されるプリント基板市場において、2032年までには約1135億ドルに成長する見込みです。アドバンスコンポジットは、3年後にこの市場での売上高を10億円、5年後には100億円とする目標を掲げており、将来的にはプリント基板市場の10%のシェア獲得を目指しています。
この新素材は、2025年1月22日からの「パワーデバイス&モジュールEXPO」で展示予定です。興味のある方は、ぜひ直接体験してみてください。また、アドバンスコンポジットは、同株式会社のホームページからも詳細を確認できます。ご興味がある方は、彼らの技術の進展を是非ご確認ください。
【展示会情報】
- - 展示会名:パワーデバイス&モジュールEXPO
- - 会期:2025年1月22日(水)~24日(金) 10:00~17:00
- - 会場:東京ビッグサイト 東7ホール E63-74
この新しい技術は、今後の電子機器開発において重要な鍵を握ると思われます。アドバンスコンポジットのさらなる成長と展開に期待が寄せられています。